ボクシング界の最後の現役スーパースターと言えるManny Pacquiaoが同性愛者について「動物に劣る」と発言、即刻Nikeからのスポンサー契約を打ち切られています。なかなか難しいところがありますが、アメリカの社会の流れを認識できていなかったPacquiaoの認識不足ということですか。発言後、謝罪をしているところからも認識不足が理由の騒動と考えて良いのだと思います。

つい先日のSuper Bowl 50でのハーフタイムショーがらみでも語ってみましたが同性結婚を認める方向に既に舵を切ったアメリカ社会。そこでカソリック国であるフィリピンの出身で、同国の国会議員でもあるPacquiaoが自国国民向けに発言したとしても現時点ではアメリカ側としては許容できる範囲内ではないのでしょう。

いくつか考えさせられます。アメリカ国内でもゲイ結婚に強く反発する人たちは確かに存在します。私人がそういう反対意見を持つことは信条の自由として悪いことは言えません。Pacquiaoはアメリカ人ですらないわけで、彼が国会議員として、また将来の同国の大統領候補とし自国民の信条に近いことを発言するのは自由の範囲内とは言えます。但しPacquiaoがそのお金を稼いでいる対象の多くの部分をアメリカが負っている。そしてさらにNikeはアメリカ企業でその市場もまたアメリカ。つまり政治的にはフィリピンの公人ですが、経済的にはアメリカでも公人である。アメリカでの公人という立場が頭から抜け落ちていたのだろうなと思います。繰り返しますが個人的な信条としてゲイ婚反対という意見は持っていていいと思いますが(この点はNikeも公式文で認めているのがアメリカっぽくて良いです)、公人としての立場を踏み外すとNikeから即刻反発されて数百億円単位で損失となるということのようです。

まあPacquiaoがゲイ婚が嫌いだからと言ってボクシングファンが次の試合(たぶん引退試合になる)を見ないとは思われないですが、次戦がキャリア最終戦なのに報道量や露出量のマイナスで非ボクシングファンにPacqiaoの引退試合が伝わりにくくなるのでしょうか。同時代のスターだったFloyd Mayweather Jr.の引退試合も一般の関心を呼ばないままでの寂しい引退試合でしたがPacqiaoもそうなってしまうとしたらもったいない気がします。

Mayweatherの場合はその素行と犯罪歴から基本的にどこからもスポンサー契約を貰えない存在でした。Pacquiaoの方は英語がうまくない、外国人、アジア人などハンデとなる要素があってもMayweatherよりはずっとマトモなのでスポンサー契約を得られていたわけですけれど、今回Mayweatherとはまったく別方向でキャリア最後でミソを付けて一般企業からのスポンサー契約が打ち切り。ボクシングで一般スポーツファンに名前の知られている最後のボクサーのPacqiaoまで一般企業とやっていけないという形で現役を終えてしまう。ボクシングというジャンル自体が危機的状況なのに、そこへ変な形で余計なネガティブな要素が加わってしまった感じでしょうか。