NBAがオールスター休みの間の常設の興業ライバルであるNHLやカレッジバスケが比較的おとなしい中、その間隙を突いてこんな実験的な興業もあります。MLB Boston Red Soxの本拠地であるFenway Parkに14階建て相当の高さのスノースロープを設置してのスノーボードおよびスキーのフリースタイルジャンプの興業が木金の二日間にわたって開催。TV放送はNBCSNで。これはけっこうおもしろいのかもしれません。

649_bigair_renderこれが企画段階でのスロープの見取りですが実際にTVで見てみるとかなり良かったです。実際のジャンプが起こる位置は二塁ベースよりも後方ですがとにかく位置が高いので全席から楽しめそう。こんなものをぶっ建てて興業が見合うのかどうか、その辺のお金の計算はさておき見やすさという面ではけっこう良さそうでした。昨日書いたNHLの野外試合Stadium Tourを極寒のフットボール場や野球場でやるという話ですが、その二つなら野球場の方がまだ見やすいだろうなあと思っていたわけです。見やすさなら野球場、観客動員数を稼ぎたいならフットボール場というところでしょう。このBig Air企画は野球場にぴったり。外野席は最初から除外するとして内野の上部席から見ても自分達の目線に近い高さで上空を舞うボーダー達を見るのは新鮮な体験になりそうです。

出場する選手達にも好評だったみたいです。先日行われたWinter X Gamesの当該種目に出場した選手達が出ているわけですが口々に大観衆に見られる幸せを語っていました。なるほどなあと。X Gamesやその後に通常年続くツアーでは全米各地のスキーリゾートを廻るわけで、都市部のスタジアムでの開催は選手たちにとっても新鮮。通常、これらの試合の行われるスキー場というのは山岳部にあって観客もいるにはいても、根本的にはスキー・スノボを自ら楽しむ人たちしか現地にいず、下の方にいくらかいる程度で今回の企画のような数万人が歓声をあげてくれるという様な環境での試合はありえない。それを一発やってみたというのが今回の企画。これ、野球場にかなり合ってます。来季以降他の都市での開催もありなんじゃないでしょうか。

アメリカのスキー場というと西のロッキー山脈のスキーリゾートがイメージ的には当然のように頭に浮かびます。これは国外から見た場合のイメージでもそうであろうと思われます。Winter X Gamesは例年Aspenでの開催。それ以外でもVeilあたりが知名度は高い。

ただアメリカは人口の大半は東部時間帯に住む構成で、実際にスノースポーツを楽しむ人の数はイメージと外れる東部の人もかなり多いはずです。そちらの方が実数は多いのかもしれない。今回のBig Airの開催地ボストンを含む東部の人たちがスキーを楽しむ場合にはアメリカ北東部のニューハンプシャー州やバーモント州などに行くわけです。私も東部時間帯ゾーン在住者の端くれなので(ウチからは遠いですけど)車で行けるアパラチア山脈のスキーリゾートに行く方が飛行機で行くロッキーより楽なのです。ウチはスノボとスキーと二刀流なのでモノも増えてしまい飛行機での移動だとものすごく大変なのです。で、まあ東部の人口の多いエリアの潜在的なスノースポーツ消費者を刺激する意味でもこういう都市部でのBig Airイベントは効果的な宣伝となる可能性はかなりある。Big Air at Fenway単独で放映権料や入場料のみでイベントがペイするかどうかは判りませんが、それにプラス東部の各地のスキーリゾートからのスポンサー料も入るでしょうし、ビジネスモデルとして成立しそうな気配はなきにしもあらず。今回は物珍しさもあって好動員を記録したようです。これから他の都市の野球場、例えばYankees Stadiumなどでも開催があったりする可能性を感じます。フットボール場はNFLのスタジアムだと遅い場合1月半ばまで試合があり得るためこういうスロープの設置の時間的余裕もないでしょうが、MLBのスタジアムならその面でも有利。野球場の観客席の配置もこのイベントには合っている。いや野球場以上に合っている場所はまずないと言ってもいいほど。

スタジアムに大規模な土木工事を持ち込んでやるスポーツイベントというとオフロードバイクのスタジアムツアーSupercrossなんかもあります。Supercrossは歴史もありおもしろいですが、TVでの露出という面ではWinter X Gamesと比較して劣る。それでも十分にツアー興業として成立しているわけで、Supercrossがいけるならこれもいけるかも。冬のMLBスタジアムの活用とBig Air、施設の稼働率もアップで相性が良さそうな気もします。どんどん新しいものが出てくるアメリカ社会の強みも感じさせる新興業です。