20年目のサッカーMLSシーズンが終わったわけです。MLSの拡張先として元Los Angeles GalaxyのDavid Beckhamが創設に数年前から奔走しているMiamiの新チームのスタジアムの建設計画がまた発表になっています。またというのは過去の計画とは別の場所でという新規の打ち上げだからです。実にこれが四カ所目。過去の三カ所は全て途中で頓挫しておりどうも今回も怪しげです。

今年前半に別に打ち上げていた計画ではMLB Miami MarlinsのホームMarlins Parkの南に隣接したエリアに建てるという話で、それだとMarlins Parkのために建てられた駐車場施設などが流用できるため周辺施設にかかるコストが下げられるというメリットがありました。そのもう一つ前の計画のときはNBA Miami HeatのホームであるAmerican Airline Arenaからほど遠くないウォーターフロントエリアに建てるという話。MLB隣接の時と同じく周辺施設などがメジャーイベント用に開発整備されているので人の流れ車の流れなどのインフラの心配が少ないというメリットがありました。  

ところが今回の四度目の開発地はマイアミ市内でも最貧地区。私はマイアミ市周辺の地理はそこそこ詳しいつもりですが、今回の開発予定地を聞いてびっくりしました。そこになにがあるんだ?と。高速道路脇の誰もが通り過ぎるだけのエリアです。今回の発表を聞いて細かく見ましたけれど生活保護者用の居住地があるだけです。そこの一角を既にBeckhamの投資グループがスタジアム建設用に買い取ったというのですが、今回発表された内容からするとそれはスタジアム周辺開発まで入っていない。既存の駐車場施設などはあるはずもなく、その用地のアテもあるのかないのかわからないし、高速道路からのアクセスも最貧地区の真ん中を通るしかないように見えます。その上投資グループが言うには徒歩によるアクセスを想定しているとかわけのわからんことを言っています。それ安全面のことは考えているんでしょうか?マイアミ自体が全米有数の物騒な街なのにその最貧地区ですよ。私なら行きません。少なくともそういう先入観を持つような地区です。

Marlins Parkのエリアはキューバ人移民の中心地であるLittle Havanaに隣接しています。あまり小ぎれいなエリアではないですが少なくとも商業地です。元のOrange Bowlが建っていたエリアでもあり周辺もスポーツイベント馴れしている。今回のMLS側の予定地の辺りがLittle Havanaより良い場所のようには私にはどうにも思えないです。

新サッカースタジアムの収容は3万人規模を予定。MLSのサッカースタジアムとしては最大級となります。Marlins ParkがMLBのスタジアムとしては小振りな37,000人規模ですからそれと大きく変わりません。Miami都市圏というのは人口規模はあるのに各メジャースポーツが動員に大変苦労しているのが特徴です。スポーツよりも楽しいことがいくらでもあるからでしょうね。MLB Marlins、NHL Panthersはそれぞれのリーグで動員最下位レベル。カレッジフットボールの強豪だったMiami-FLも強い時代も動員はひどい。Miami-FLのカレッジバスケだとキャンパス内にアリーナを新設したのにガラガラが常態。NBA HeatはLeBron Jamesが来た時期はフィーバー状態でしたがそれ以前は動員で常に苦労していました。安泰なのはNFL Dolphinsだけでしょう(DolphinsはMiamiとは名乗ってますが実際はマイアミ市からは北に大きく外れた立地です)。そういうスポーツ動員が弱い土地柄のところへ3万人という大風呂敷のサッカースタジアム建設。それもおかしな場所に。本当に大丈夫なのかな?他にアテがないの?という怪しげな四度目のスタジアム計画です。