前項でサッカーMLSがMLBを始めとするメジャー興業との競合になったときに耐えうるのかという話をしてみました。MLSに関しては興業実力はまだまだメジャーとは言えないものの、創設20年を経てビジネスの足腰は強くなりこの5年ほどはもはや潰れることは心配のないところまで来ています。初期の赤字続きの時期からすれば長足の進歩です。発足当初のスロー成長に賭けた戦略がうまくいったと評価していいはずです。

今回のテーマはさらにMLSのもう一つ下の人気と規模となる野外ラクロスプロリーグであるMLLについて。前項の内容およびコメント欄で述べてきたようにMLBが再び攻勢に転じてチームの移転や新設を通じてMLSのマーケットに圧迫を加える可能性というのを少し考えてみたわけですが、その影響を受けるのはMLSだけでなくMLLでも大いに影響を受ける可能性があります。

MLBの拡張先の候補としてCharlotteがあります。ここにはMLLの新興チームCharlotte Houndsがあります。2012年からリーグ参加で4シーズン目を終えたところ。同市にはメジャースポーツとしてはNBA Charlotte Hornetsがあり、マイナーリーグベースボールはありますが春~秋は人口の大きさと比較してスポーツエンタメ市場の空きが大きいと言える都市圏ということでMLLが新興チームを配置したんですが今季の試合平均動員は2,282人でMLL8チーム中6位。苦しい数字です。これで黒字はまずない。そのCharlotteはMLBの将来の拡張または移転先として語られることが多く、その場合シーズンがかぶるMLLがチームを維持できるのか疑問もあります。まだいつMLBが来るとも決まったわけではなく来ないかも知れませんからいまから手じまいモードになる必要はありませんが、将来MLBがやってくる前にいまの2000人級の動員力からは抜け出していたいところでしょう。

MLL 2015 Attendance
MLLの2015年の動員記録を見るとラクロスの競技人口が多い東部の各都市(Boston, New York, Chesapeake)とラクロスの楽園飛び地であるDenverが上位で事業として及第点かと思われる数字を出しているのと、確実に赤字であろう下位4チームとの隔絶が目立ちます。尚、Denverが突出しているように見えますが、その数字には毎年30,000人を動員する独立記念日の花火大会込みの試合の動員が平均に含まれているのでそれ以外の日の動員だと2~3位のチームと動員力はほとんど変わりません。Cheasapeakeは日本からは馴染みがないでしょうが海軍基地の街です。

リーグの半分が苦しい状態で運営されている中、MLLは来季Atlantaに新チームを作ると発表しています。Ohio, Charlotte, Floridaと新興チームが軒並み動員が苦しく軌道に乗っていると言えない中、また新チームを作るのかと聞いたときに思いました。それもラクロスの競技人口の多い東部ではない、南部か、と。場所はAtlantaと言っても以前に女子サッカーWPSのAtlanta Beatが本拠地を置いたのと同じ郊外。マイナープロスポーツが使いやすいスタジアムがあるのでマイナープロがなびくみたいです。Atlantaは男子サッカーMLSも拡張先として既に計画が進行中。元々NFL/MLB/NBAと揃っている街(NHLは不振で2011年に転出済)で、MLSも進出してくる土地にMLLが侵攻して勝算があるのか。MLS Atlantaは2017年にリーグ参加予定なのでその前に機先を制してMLLが来季から活動開始なんでしょうがどうなることか。リーグ全体の経営が傾かないか心配になります。リーグとして体力のないMLLがこうい積極拡張策に走るのは危険な気がしますが、投資家からカネを集めるには勢いも大事なのも事実でしょう。