なでしこジャパン残念でした。おつかれさまでした。諦めない態度にも拍手を送りたいです。3点目4点目の失点がミスだったのであれがなければまだ勝負になったかも…と悔いの残る選手もいることでしょうが、今日はアメリカの方の中盤でのパスを日本が追う場面も多く、得点差以外の部分でも米代表の勝ちだったかと思います。四年前の決勝も米代表は怒濤の攻めで日本のゴールに襲いかかっていたわけです。今日が特別というわけでもない。四年前はその決定機がことごとく外れ、今日はそれが最初の二度のチャンスでどちらも入ってしまったという違いが試合の色を変えてしまいましたがそれは仕方のないところでしょう。

さて四年前の雪辱を果たした米代表ですがここからこのチームがどこへ行くのか。またはアメスポシーンの中で今回の優勝がどうつながっていくのかという点に少し触れてみたいです。四年前の主力だったFW Abby Wambachはこの試合を最後に引退の可能性が高い。使われ方も既に主力ラインから外れておりスピードも落ちていて、本人が望んだとしても(実力本位なら)来年の五輪での代表メンバーに届かない可能性は高く選手としては終わりと読んだ方が良いでしょう。試合終了後にスタンド最前列にいた妻と抱き合っていましたが、引退後はLGBT方面の活動に力が入っていくんじゃないでしょうか。以前にも論じたことがありますがサッカー代表として活躍している間はプロとしての立場から個人の主張をスポーツ活動に混ぜるのはモラル違反とされます。また企業スポンサーとの契約からもLGBT方面で目立つことは避けていたはずですがこれで現役引退となりその面で自由となるはず。先日の連邦最高裁での同性婚の合法化、そして来年の米大統領選という流れの中でAbbyが同性婚に理解を示す候補への支持表明など知名度を活かして露出してくるんじゃないかと思います。

大会前からAbbyに代わって米代表の顔の役割を期待されたAlex Morganは四年前のような輝きを見せる場面がなかったのは女子サッカー代表にとってはかなり痛かったんじゃないかと思います。アメリカスポーツ界は常に女子のスーパースターアスリートを欲しているのですが、その需要にMorganは応えられなかった大会になってしまいました。僅か1ゴールでは持ち上げようにも持ち上げられません。他に持ち上げるべきニュースターもないので現状維持でMoganが来年の五輪に向けてイメージ上およびビジネス上のスターとして引き続き扱われるでしょうが、せっかくの米代表優勝の勢いを個人のイメージに重ねられなかったのは長期的には失敗に近くなるんじゃないかと思います。大会前までケガで本調子でなかったかもしれませんがその部分も含めて、来年の五輪では再びアメスポの女子枠の顔の地位に向けての再チャレンジになるでしょう。

まさかの決勝戦ハットトリックで大会最多得点と大会MVPを獲得したCarli Lloyd。実力本位ならば文句なしにこの米国優勝のヒーローとして祭り上げられるはずの存在ですが、どうなるか。どうなるかというのはつまりロンドン五輪のときと同じくどれだけ活躍しても三番手四番手のようなマスコミの扱いになるのではないかということです。ロンドン五輪のときは4ゴール(Wambachの5ゴールに次ぐ大会第3位)。それも決勝戦の対日本戦で2ゴールで金メダルの立役者になったのに、大会後のマスコミ扱いはMorganやWambach、Soloの従来からのスターや人気者のMegan Rapinoe以下なのはもちろん、当時まだ先発の地位を固めていなかったSydney Lerouxよりも下の扱い。気の毒になるぐらいにスターの系列からはじきだされていたのです。それが今回堂々の大会MVP。まさかSasicに追いつけるとは思わなかったのが強引に追いついての得点王タイ。ここまでの実績をW杯で残した選手は米代表にはいないのにそれでもスターシステムから置いてきぼりになったら、それはそれで露骨で凄いなということになるはず。どういう大会後の扱いを受けるのか楽しみな気がします。Lloydは今月33歳になるので次回の女子W杯フランス大会には代表にいない可能性は高く、これだけやってもやっぱりお金と注目はMorgan(26歳)に行くことになり、それだけでなく今大会出番も少なくプレーも期待外れだったLeroux(25)やChristen Press (26)といった年齢的に未来があり、かつ見映えも良い選手たちにすら遅れをとる来年の五輪前になるかもしれません。

世代交代はかなりスムーズに行きそうな気がします。Wambachが退き、名を連ねるだけの代表選手になったBoxxやRamponeもW杯を優勝して成仏してくれそうですからここらは文句なしのカット。ピッチ外の問題の多いSoloも最長でも来年の五輪で終わり。フォワード陣は上記の三人がいますし、今大会で代表内での地位を築いたJulie Johnston(23), Meghan Klingenberg(26), Morgan Brian(22)が今後も期待でき戦力的には代替わりはかなりスムーズに進むのではないかと思われます。スターパワーという意味ではMorganが今大会期待外れだっただけに少々迷走する可能性はありますが戦力的には大きな落ち込みはないまま次回フランス大会も臨めるんではないでしょうか。