サッカー女子W杯カナダ大会、全チームが2試合を終えた段階です。日本とブラジル以外はまだGL通過国が確定しておらずGL最終戦も楽しそうです。米女子代表は1勝1分けの勝ち点4。第2戦のスウェーデンを相手にWambach/Morgan抜きの先発で臨み、苦戦からその二人をサブで投入するも局面打開ならず0-0での引分となっています。あの試合はSydney Lerouxのゴール前でのハンド反則を見逃してもらってのやっとの引分。PKが与えられていたら敗戦もあり得た展開でした。本番前の韓国との親善試合でも冴えず、W杯初戦のオーストラリア戦は最終スコアこそ3-1でしたが得意の高圧的な攻めでの試合支配はできず、先行きが危ぶまれます。

その中で調子が良いのがAli KriegerとMegan Rapinoe。助走なしのロングボールが出せ、走りもトリッキーなRapinoeには各国とも警戒感が強くRapinoeのディフェンスに枚数をかける。相手を引きつけてから長いサイドチェンジのボールが出て右サイドでスペースたっぷりのKriegerにボールが出て、そこから攻撃が広がるというパターンがここまでの米国のベストパターン。これができるのもRapinoeの助走なしでのキック力のおかげでしょう。女子の試合で一発でサイドチェンジできるようなキック力のある選手は数少ないです。

ところで表題の件です。今大会はイエローカードが準々決勝まで累積するルール。もし準々決勝に二枚目を貰えば準決勝が出場停止となります。逆に言うと決勝戦はよほど準決勝で下手を打たないかぎり出場両チームともに出場停止選手はいないフルメンバーでの試合となるはずです。なでしこジャパンはきれいに勝ってカードも貰っていませんが、米代表はRapinoeとMF Lauren Holidayが初戦でイエローを貰っておりここから準々決勝までの三試合をカードを貰わないように気をつけなくてはいけない状態です。二人とも中盤の重要な選手。スウェーデン戦で勝ってこの二人にはGL最終戦やトーナメント初戦ではカードを貰わないことを強く念頭に置いて、場合によっては休養も兼ねて出場させないこともあり得たはずですがスウェーデン戦の引分でその皮算用はもうできない。さらに悪いことにE組でブラジルが首位通過を確定させています。米代表のD組からは2位通過だとノックアウトステージ初戦が対ブラジル戦になっちゃう(首位通過なら他組3位相手)のでこれはぜひ避けたい。第3戦ナイジェリア戦を引分でも首位通過の可能性はありますがそれは他力本願。ナイジェリア戦の勝利を目指すならばRapinoeを外すのはここまでの試合内容を見ると難しい決断になりそうです。ただ勝つだけでなく早めにゴールを量産して勝利を確定させるような試合展開が理想(そりゃどんな試合でもそうですが)なので前戦ではベンチスタートとなった二枚エースFWのAbby WambachやAlex Morganの先発もあるのか。Morganは体調不良でまだ復帰後、30分を超えるような長い出場がない。ですからMorganは決勝トーナメントまで温存するとなるとWambachと、精彩を欠くSydney Lerouxの2トップでしょうか。Lerouxはスーパーサブ扱いだった頃は疲れた相手ディフェンスを直線的に突破して相手を苦しめましたが、先発FWとなってからはそうもいかず。相手も疲れていない上に自身もペース配分を考えてしまう、さらに猛進の一芸っぽさも相手に対応されやすく2試合先発もノーゴールとなってます。

既にカードを抱えるRapinoe/Holidayだけでなく、コンディションの良さそうなナイジェリアの強引な攻めに米代表のバックラインでイエローを貰う選手が出る可能性もあり、カードマネジメントが勝ち抜くための鍵になる展開もありえそうです。