内容が散漫になるとおもいますがご容赦ください。

昨日日曜日、NASCARとF1がほど近い位置で開催されました。F1のUS Grand Prixは開場三年目となるCircuit of The Americasで開催。これはテキサス州州都オースティンの郊外にあります。対するNASCARのChase第8戦はTexas Motor Speedwayで。これは同州の大都市ダラス郊外で。直線距離にしてざっと200 miles=300kmほど、三時間程度の距離です。NASCARの方は例年この時期に同所でレースを開催しており、F1の方が意図的にぶつけてきたものです。昨年・一昨年はF1はNASCARのシーズン最終レースの日に合わせて開催してきてTVでの戦争になっていたのですが今年は初めて現地での興業戦争をしかけてきたことになります。モータースポーツだと三時間程度は興業としてはバッティングと考えて良いし、そもそも土地の広大なテキサスの人たちは運転する距離に対する感覚がまったく違うのでこの距離は相当に近いと考えて良いです。スケジュールの発表はNASCARの方が先で、それにわざわざぶつけてきたF1の意図はどういうものか。NASCAR側はF1が同日開催を発表したときに不快感を表明しています。いつも書いている通りアメスポメジャーは共存を意図することが多く、こういう形の興業戦争は珍しいと言えます。F1は黒船なのでその辺りの行動も非アメスポ的ということでしょうか。F1に惹かれる層とNASCARファンが重なるかどうかというのは微妙な面はありますが、例えばサッカーとモータースポーツのファンが重なるよりは重なる可能性は高そうにも思えます。NASCAR側は同レースでの動員の数字を発表しないので興業戦争の影響がどれほど出たかは外からはわからないです。F1側は過去二年間動員の数字を発表しているので今年も出してくると思われます。

さきほどサッカーとモータースポーツのファンが重なるか、ということを書きました。なぜサッカーを例にひいたかというと、同日にNASCARが開催されたダラスでMLSのプレーオフが行われていたからです。MLSプレーオフの西カンファレンス準決勝の1st legがDallas FCの本拠でSeattle Soundersを迎えて行われていました。動員は2万人のキャパに対して16,000人。これは今季のDallas FCの動員の平均にほぼ同じです。いつも書いている通りMLSは週中の動員は大変弱い。でもこの日は週末です。プレーオフというアメスポメジャーなら動員増につながるはずの試合がシーズン中平均と同じ。うーん。@Dallasでは先週、週中にもプレーオフの開幕ラウンドがありそのときは1万人の動員にとどまっています。MLSのプレーオフビジネスはうまく動員増の機会として機能していないといえるか。ちなみに同日近所でNASCARが開催されたプレーオフというとつい先日にもありました。MLBのKansas City RoyalsのALDSの試合がNASCARとバッティングしました。このときはRoyalsの圧勝。スタジアムは普段入れない場所まで立ち見を入れてもソールドアウト。街中がRoyals旋風に揺れNASCARは大いにワリを喰ってしまったとされます。

MLSのプレーオフの苦しい動員状況は今週末にもうひとつありました。三年ぶりにプレーオフに登場した老舗のColumbus Crewのホームゲームが9,000人の動員に留まる惨敗を喫しています。Crewの今季の平均動員は15,000人。平均の六割しか動員できないプレーオフ。残念な結果と言えましょう。たぶん原因は同日夜にあった同市内のOhio State Buckeyesフットボールのホームゲームでしょうか。Ohio Stateはカレッジフットボール界有数の強力動員を誇る学校で10万人のキャパを誇るOhio Stadiumが常に満員となります。時刻はMLSが午後、Ohio Stateの試合はナイトゲームだったので試合時刻は重なったわけではないですが現実としてはOhio Stateの試合前にパーティをするのがアメフト的習慣なわけで影響はあったのでしょう。それにしても9,000人は寂しいです。Ohio Stateの試合があるとは言え、対戦相手はたかだかIllinoisだったのです。どうでも良い試合でしょう。それに完敗する。この辺りがまだまだMLSがメジャースポーツとは見なされない理由のうちでもあるのでしょう。たぶん同市内でのスポーツローカルニュースもOhio State一色だったはず。逆に言うとこの時期のプレーオフというビジネスの仕組みは一定以上の基盤がないとなかなか難しいものだと言えるのかもしれません。この時期にプレーオフをやるとなればNASCARやカレッジフットボールだけでなくNFLもあればNHLもNBAもある。人口密集地で興業をするからにはそのすべてを避けることは難しい。プレーオフという興業の性格上、日程は後付にならざるを得ないから興業実力がないとこういうことになってしまうわけです。その結果プレーオフがレギュラーシーズンより動員で盛り上がらないということも発生しうるわけですね。

公平性を期すために付けくわえるとRio Tinto=Real Salt Lakeのホームの試合は満員で盛況でした。ここはいつも雰囲気が良いです。New York Red Bullsは先週週中公称15,000人動員実際は絶対1万人も入ってないだろという試合があったその次戦で、18,000人と発表になっています。実際の入りがどういう状態だったかわからないですが。Red Bullsの今季の平均が19,500人程度という発表になっているのでこれでも平均から1割減といったところで苦戦ですね。