四月も進んで春夏シーズンのアメスポジャンルが次々と開幕してきています。MLBに若干遅れつつ五月雨式にマイナーリーグベースボールMiLBが各地で始まっていますし、女子サッカーのNWSLの二度目のシーズンも上旬に開幕。女子サッカーは過去二つのプロリーグが3シーズンで潰れた経歴がある中での2シーズン目。今回は北米各国のサッカー協会からの資金援助もありますが2シーズン目で初年度よりもビジネス面で進歩を見せられるかどうか。

同様にMajor League Lacrosseのシーズンがもうじき始まります。野外ラクロスのプロリーグであるMLLは今年は大事な勝負のシーズンでシーズン構成が例年と少し違います。今年はコロラド州Denverでラクロスの世界選手権が7月に開催されるのですが、それに合わせてMLLはシーズンを中断して世界選手権を後押しする予定です。今年2月にアイスホッケーNHLがシーズンを中断してソチ五輪への選手参加を認めたのと似た措置と言えます。さらには世界選手権前6月下旬に開催されるMLLのオールスター戦は米代表チーム対残りの選手という形式に改変、米代表チームの壮行試合兼世界選手権前のチューンアップの試合として設定。MLLの興業としても世界選手権を利用しつつラクロスを一般スポーツファンの意識の上に引き上げようという努力を感じるスケジュールとなっています。ラクロス世界選手権は7月10日から7月19日まで。ちなみにサッカーW杯は6月12日から7月13日まで。サッカーW杯は避けての開催ということになります。サッカーW杯とラクロス世界選手権では比較にならない規模の差ですがそれでも避けておくのは賢明でしょう。

7月というのはアメスポの夏枯れの時期です。春夏型興業のMLBを始めモータースポーツ、MLS、NWSL、MiLBが動員を争う時期ではあります。が、あまりに暑すぎて観戦に行くのを躊躇するという時期でもある。その時期に高地で避暑地となりうるDenverでのラクロスの世界選手権。興業センスとしては悪くないんじゃないかと思います。大会会場はサッカーMLSのColorado Rapidsの本拠地Dick's Sporting Goods Park(収容17,000人強)。

MLLには毎年恒例となっている独立記念日=7月4日にMLLの人気チームDenver Outlawsのホームの看板試合があり、毎年のようにMLLの試合動員記録を更新しています。Denverはなぜかアメリカでも特殊にラクロスの人気の高い都市。ということは世界でもラクロス人気の最も高い都市のひとつ。そこでラクロスの世界選手権が開催されるわけです。そして同市内でプロラクロスMLLの看板試合がその開催直前に行われる。ということはたぶん世界選手権に出場するためにデンバーに滞在している選手関係者たちの関心を呼ぶことは確実で、大挙してOutlawsの独立記念日試合に来場する可能性があり、会場であるSports Authority Field at Mile Highの大箱(収容76,125人)も今年は例年以上に埋まる可能性があります。

MLLの放送はCBSSNがメインの契約先(ネット放送はESPN3.com)となっているため最も露出効果の高いESPN系のスポーツ報道にこの試合が取り上げられるためにはよほどの動員で驚かさないと難しいんでしょうが、もし4万人という数字がたたき出せればラクロスというスポーツの格好の宣伝となるのは確かでしょう。それが世界選手権という特殊事情込みであれ、花火大会込みであれ、です。ちなみにMLLのCBSSNやESPN系でのTV放送は局から放映権料を受け取れない「放送してもらっている」状態。サッカーMLSもこの状態での雌伏の期間が長かった(←10年前の記事です)りしたマイナープロスポーツの修行期間中です。

将来にわたってラクロスが激戦マーケットアメスポ業界の中でトップ10クラスに食いこんでくるのはまず難しいとは思いますが、それなりにプロ興業を維持していることで地味にでも定着していく可能性は感じられます。