この週末はNBAのオールスターウィークエンド。アメスポ各種の中でもオールスターイベントの魅力ではNBAのそれはナンバーワンと言って良いです。NFLのオールスター戦であるPro Bowlが今年テコ入れを行ってなんとかゲームとして見られるように改変されたり、MLBがWorld Seriesのホームフィールドアドバンテージを賭けた真剣勝負に移行するなど他のメジャースポーツも手は加えているもののNBAオールスターのエンタメ度は群を抜きます。またオールスター戦前夜のスラムダンクコンテストや3ポイントコンテストも完全に定着した人気イベント。生きの良い若手選手同士のRising Stars Challengeの試合は前年・前々年のカレッジのスター選手たちによるオールスター戦のようになってこれもまた趣があって良いです。まあこれはカレッジバスケファン側の楽しみ方ですが。

開催時期が二月中旬なのは毎度のことですが、今年は冬季五輪と丸かぶり。二週間の五輪のスケジュールを完全に避けると一月下旬や二月末になってしまう。開会式の前週・ホッケーの決勝が来る後ろの週末よりはど真ん中の週末なら確実にくみしやすいということなのでしょう。アメリカ視点で言うと冬季五輪というのはShaun Whiteと男子アイスホッケーがメインイベントです。Shaunは既にHalfpipeで三連覇失敗の4位で競技終了。ホッケーは前項の通りグループリーグが始まったばかり。NBA(というよりアメスポ全体でも)の強力イベントであるNBAオールスターにとってはこの時期の冬季五輪はさほどの脅威とはいえないかと思います。ちなみに日本では注目であろうフィギュアスケートはアメリカ人選手が勝てなくなってしまっているので、競技としての人気はまだそれなりにあるとは思いますが話題にのぼることは少ないです。いずれにせよNBAオールスターにとっては恐れるような相手ではないということになります。夏季五輪の時期もシーズンのかぶるMLBが我関せずで自己の興業をもり立てていますが、NBA/MLBとも五輪の裏でも逞しく自己のビジネスを推進できる。こういう国内スポーツ興業の強さというのは他国では真似をしたくてもできない強さなんじゃないでしょうか。


Shaun Whiteに触れたのでそちらの方でも少し五輪 vs アメスポという切り口でコメントを付け加えてみたいです。Shaunが4位となりHalfpipeが五輪採用されてから初めて米国人選手が同競技でメダルなしとなりました。ShaunはSlopestyleの方でもエントリー可能だったのですが現地入り後にHalfpipeに専念すると表明して臨んだHalfpipeがこの結果。Shaunの次を狙うアメリカ人スターが出てこないままでShaun時代が終わりに近づいてしまったのか。まあShaunはX Gamesで見ていてもSlopestyleでは抜きんでた選手とは言えないのはわかっていたし、なんでも現地でSlopestyleのゲレンデ(と今でも言うんでしょうか?)の状態が危険という判断でやめたとか。それはまあそれで判断としては悪くないんでしょう。

HalfpipeもSlopestyleもX Gamesが競技を広め人気も獲得した実質アメスポと言ってよい競技です。それをを五輪が追って競技採用した、いわば横取りイベント。Shaunは五輪出場を理由に今年のWinter X Gamesには不参加。五輪の方が後からきたけれど上位イベントということになっています。まあX Gamesの場合はアメリカでもESPNの局お抱えのイベントで、他のメジャースポーツのような普遍的なジャンルとしては成立していない面もある。ESPNに普段からチャンネルを合わせる習慣のない人にもShaun Whiteという名前を売り込むには五輪は大きなマーケティング機会でもある。そういう意味で持ちつ持たれつでそれはいいのですが、その五輪でShaunが敗戦。Shaunに代わるX Game育ちの次の米人スターもこの五輪で見いだせなかった、売り出せなかったというのは痛いところでしょう。差別をするわけではないですがもし今後も非米人にトップを占拠されるようになったとしてそのイベントは人気を保てるでしょうか?(Summer X Gamesだとアメリカ人がさっぱり勝てなくなったインラインスケートイベントが種目削除になってます)

ところで同じ競技をやっていてもX Gamesの場合はファッション性の高い音楽や会場PA、または大型スクリーンで盛り上げるのに、保守性の強い五輪の会場のムードはいまひとつという気はします。これなんかはまさにアメスポ対五輪の差というところでしょうね。