久々に生臭さのきつい話題です。Auburnのフットボールで日常的に現金を生徒に手渡したり成績改ざんをしていたという疑惑報道が出ています。まだ話題が出たてなので今後疑惑がどう展開するか読めない部分、疑惑報道があまりにも生臭さ過ぎていまどきこんな露骨なことをやっていたバカ学校がまだあるのかという意味で信じがたい気もしてしまう部分があります。現FloridaのHC Will MuschampがAuburnのコーディネータだった当時の話で、この事件が当初に伝えられた通りだと認定されるならばAuburnだけでなくFloridaも余波を喰うのは確実。まあFloridaは最悪HCの首のすげ替えで済むでしょうが、Auburnの方はどうか。Muschampは即座に否定コメント、一方当事者だけの証言では立証しにくい内容のようですし、もし事実と認められればAuburnフットボールは活動完全停止まで見込まれる悪質な内容ですから関係者は全面否認に走ることは必至。どうなるか。

選手をコーチの部屋に呼び出し、机の引き出しから$400の現金を手渡して「これでいいか?」と言った。こういう証言が元選手から出ているわけですが、こんな1970年代並のことがまだ行われていたとしたらこれ、Auburnは死刑ものでしょう。時代錯誤も甚だしいと思うのです。いまでも何らかの形でルールをかいくぐりまたはルール無視を決めて裏金を細工しているというのはそこここにあるであろうとは思います。全部の学校と選手がクリーンであると信じるほど私はナイーブではないですが、学校側もさすがに気を遣って裏なら裏らしい迂回工作をしてみたり、そういう非常手段にうったえるのは特別な選手に対してだけかと思ったら、普通の選手に真正面から現金の授受という話でその明け透けさに驚きます。


Auburnで特別な選手への裏金と言えば、言わずと知れたQB Cam Newton(現NFL Carolina Panthers)の話です。Newtonへの裏金疑惑はAuburnが全米制覇にばく進していたそのさなかに話題に上ったもののNCAAは追い切れず見事優勝。0-24からの大逆転でのAlabama戦など名勝負を残したシーズンでした。様々な情報からすればNewtonはクロにほど近いグレーであったもののグレーのまま当時逃げ切り、NFLドラフトでも全体1位(それも例のNFL選手協約改訂前の高額契約)で楽しい人生を歩んでいるわけです。NFLの戦術パラダイム転換期となりNewtonが再び大学時代のように走りまくれる戦術が使われるよになるかもしれないというのもあって、再びNewtonの能力がクローズアップされる可能性があります。いろいろ運が向いた選手だなという感じです。

Auburnで成績改ざんと言えばまた別の記憶も呼び覚まさせられます。Cincinnati BengalsのRBだったJames Brooksが文盲だったという件。Brooksが裁判に呼び出されて書類が読めず、仕事も煉瓦積みの肉体労働に従事しているのを知った判事が「君は大学を出ていると記録にあるが、本当に読めないのか?」と訊ねたというエピソードがあります。Brooks答えて曰く「クラスには行かなくてもいいと言われて出席してません」。それがやはりAuburn大だったわけです。BrooksがAuburnに在籍したのは1980年代。こんなことは80年代当時きっとそこら中で行われていたのでしょうが、Brooksは特にできも悪く、裁判所に呼び出されてしまうような人生だったのでそれが公式にばれてしまい、これがその後現在に続くNCAAの成績による選手の足切りの事細かな制限・取り締まりにつながっていったわけです。おもしろいのは当時のAuburn大側の反応で、「Mr. Brooksに再度本学に戻って無料で教育機会を与える用意がある」と発表したのです。あれはちょっと笑ってしまうというか厚顔無恥というか呆れたものです。

あれから十数年を経て21世紀になってもAuburnはまだ現金ニコニコ手渡しというようなことをやってるわけですよね。またAuburnか…という感は強いです。