先週末にNASCARの今季最終戦とF1のUS Grand Prixが同日開催になっていました。NASCARの方は前週にほぼ決着がついていたもののそのレースまでは極僅少差のポイント争いだったので例年以上にNASCARの報道量が増えていたシーズン。二年前のセカンドカテゴリ(Nationwide Series)優勝者Brad Keselowskiがトップカテゴリ(Sprint Cup Series)を初制覇となっています。このKeselowskiはソーシャルメディアの使い手でファンとの交流もうまくその方面でも人気者で、全体として人気がピークを打ったとされるNASCARにおいて新たな若年のファン層の開拓が期待されるNASCAR期待のドライバーでもあります。なんでもKeselowskiの親は多重債務者になりながら彼にレースを続けさせてこういう結果を生んだとかなんとか、美談なのか馬鹿みたいな話なのかよくわからないエピソードもくっついてきています。尚、Sprint Cupのスプリント社は先般日本のソフトバンクが買収を発表した携帯電話会社大手で、一時期Softbank Cupに名称変更するのか?という噂もありましたが、そのまま名称継続の模様です。Sprintという単語とレースの親和性もいいですから変えない方がNASCARとしてもありがたいはず。

それはいいのですがNASCARのシーズンフィナーレに完全にかぶせて同日ほぼ同時刻開催されたのがF1USGPです。F1のアメリカでの存在感の微妙さは特筆すべきものがあり、2005年のIndianapolisでの出走6台だけ他のチームはボイコットという大失態から評判をさらに落とし元々微妙だったF1の米国開催自体が消滅しました。それ以前にもF1 USGPは消滅復活を繰り返した歴史もあり。そして今回満を持してF1での使用を前提に新たにテキサス州の首都オースティン郊外に建設されたサーキット=Circuit of The Americasでの初レースとして復活F1USGPが開催されたわけです。アメリカのレースコースはオーバルが大半でF1向きのテクニカルコースは実際上存在しなかった。それを今回はわざわざ(ほぼ)専用サーキットを建てて迎え入れたというF1米国定着プロジェクトとも言えるものです。
オースティンでスポーツと言えばTexas Longhornsの地元であり、フットボールシーズンだしこのタイミングでいいのか?とも最初は思ったのですが、よく考えればLonghornsフットボールは感謝祭の試合があるからこの週に限ってはオースティンの地元は週末にメジャースポーツイベントがないんですね。なるほど僅かな隙ですが確かにこのタイミングならフットボールシーズン中のオースティンでもアリなのでしょう。ということは来季以降も感謝祭直前の週末狙いということか。
放映はFOX系のモータースポーツ局SPEEDでの放映だったようなので視聴率の方は期待できないのでしょうが、NASCARの最終戦と重なるのも、ほとんどの場合最終戦まではポイント争いはもつれないとみなせばそれもありなのか。新設Circuit of The Americasはその名も表す通りのアメリカモータースポーツの新しい一大拠点となる意欲満々の施設で豪華スイート席を多く備えているなどモータースポーツ界に一石を投じる施設になっているようです。IndianapolisやDaytona Motor Speedwayは私も行ったことがありますが、かなりの老朽化が進んでいるのは現地に行けばいやでも目に付くところ。Daytonaなんかは席もボロボロ度がすごい。他のメジャースポーツのスタジアムやアリーナがここ20年ほどの間に次々と新設されてその美麗さが動員を助けているのと比較すると各地のサーキットの古さは問題とも言える。しかしながら施設がやたら大きいのでそうそう建て替えるわけにもいかない。そういう構造的な問題があるところへこのテキサスの新サーキットです。そしてそれがF1という外資と一体になっての登場という黒船状態。来年からはMotoGP、世界耐久、ルマンシリーズなどヨーロッパの人気レースが次々と同所で開催が予定され、欧州モータースポーツのアメリカ市場本格侵攻の拠点ともなる予定です。受けて立つ側となる米国国内レースの対応がどうなっていくのか気になるところです。一度行ってみたいです。