前項でも触れたNationals x Giantsを録画しておいたのですが、見ていたら途中から同時刻開催のRays at Marinersが録画の中に挟まっていました。Felix Hernandezのパーフェクトゲームが進行中だったからですね。おかげで最後3イニングのKing Felixの快投ぶりを見ることができました。変化球が冴えまくりでバッタバッタと斬りまくって完全試合達成。今季三度目、MLB史上23度目の完全試合となりました。それにしてもMarinersも1点じゃなくて、もう少し点をとってあげてくださいという感じではありましたが。


その後MLB Networkではこの快投のことをいろいろ話題としていじっていたのですが、その中でへえーと思ったのが解説者のHarold Reynolds(元Mariners二塁手)が選んだSeattle Mariners球団史上最高の瞬間というランク付け。Reynoldsはソフトなおしゃべりのなかなかの名解説者で長年MLB、さらにはちょうどこれから時期となるLittle League World Seriesなどでも解説者を勤めてきている人。元Marinersの選手としてMarinersネタだとお呼びがかかる人でもあります。

この日のKing Felixの完全試合をHaroldはこのランクの2位に選びました。Marinersにとっては史上初の完全試合ですが1位ではないと。理由はペナント争いに関係ない試合だから、というもの。なるほど。彼が選んだMariners史上最高の一瞬の第1位は1995年のALDS第五戦のEdger Martinezが延長11回裏に逆転2点打を放って、0勝2敗から三連勝でYankeesにシリーズ大逆転勝利を得た試合としました。おおお、さすが通は言うことが違う!と思いました。このシリーズ確かに私も見た記憶がありますよ。随分昔の話ですが。絶体絶命からの大逆転のシリーズ。そして11回表に1点失って後がない11回裏での大逆転。1塁ランナーだったKen Griffy Jr.が長駆生還での幕切れ。Haroldに言わせると「この試合、この瞬間、あの一打がSeattle Marinersという球団を救ったんだ」との力説。どうも当時のMarinersは弱すぎて地元のファンサポートが弱く、当時の老朽化したKing Domeから新スタジアム建設への流れができずチームの移転を考えねばならない時代だったようなんですね。それがこの劇的なALDSでシアトル市民の関心を再び高めることに成功してSeattle Marinersが歴史上立ち直った試合ということらしいです。Edgerが打って、Griffy Jr.が走って、生還後飛びついてきたのは背番号3ですからあれはまだメジャー二年目の若きAlex Rodriguez。なるほど確かにこっちの方が完全試合より球団史上最高の瞬間には相応しそうです。


他に挙げられたのは5位Gayload Perryの300勝、4位Big Unit Randy Johnsonの球団初のノーヒットノーラン、そして3位がIchiroの262安打の単年安打記録というところでした。Haroldの解説によるとPerryの300勝はその昔のメディアカバーの悪い西海岸の辺境地である弱小Seattleを全米に意識させた功労者。Big Unitも同じくSeattleの大功労者の一人でしょう。3位のIchiroの安打記録についてはHaroldはUnbelievable seasonと呼んで評価を惜しみませんでした。へえーと思ったのはIchiroの記録をこの日のKing Felixの快投の次に持ってきたところ。Marinersの話題ならHarold以上に愛情を持って語ってくれる全国区の解説者はいないわけで、そのHaroldがIchiroの単年安打記録をこれだけ持ち上げてくれるということはMariners者にとってはあの安打記録の年のIchiroはよほどのインパクトがあったのでしょう。当時はまだIchiroはMVPを獲った時期から遠くなかった時期でもありましたし、何度でも首位打者を獲りそうな勢いがあった時期でもありますよね。いまになって歴史的に見るとMarinersが動員で長期低落に入った時期ではありますが。


とにかくMLB Networkは「この日のMLBはKing Felixの快投で救われた」と明言していました。Felixの完全試合の前までは、MVP候補Melky Cabreraのステロイド問題というネガティブな話題が大きなトップニュースになるはずのところ、Felixの完全試合というポジティブな純粋の野球の話題でこの日を締めることができたから、という理由で。なるほど。