NBA制覇を成し遂げたMiami Heatなんですが、経済誌Forbes誌によればローカル放映権を年間$80-$100 million(ざっと年間64~80億円)相当で地元TV局に売却する長期契約がなされそうだとということです。この話が出てきたのはまだ優勝決定前の話ですね。いくらHeatがスター揃いの特殊なチームだとしてもこの金額はすごい。

どのぐらいすごいかというと四大スポーツの一角であるNHLの全国放送の年間放映権料が$200 million(10年契約総額$2 Billion)なわけです。地上波・ケーブルの両方でレギュラーシーズンとプレーオフを込み込みでNHLが$200 million。Miami Heatだけ一チームの地元ローカル圏限定の放映権だけで$100 million?明瞭には記事には書いてありませんがプレーオフの放映権は既にESPN系やTNTが全国放送で獲得済みですからレギュラーシーズンだけの放映権料のはず。それがNHLのシーズン全体全米向けの半分の金額とはさすがに驚き。マイアミ市周辺というのは全米で第8位の都市圏(マイアミ市だけだとかなり小さいですが)、決して人数は少なくないとは言えあくまでもローカル。LeBron James/Dwyane Wade/Chris Boshが君臨するとは言え契約年数は最大あと四年(うち二年はチーム側のオプション)。その契約期間を超えての大型放映権契約。

ここ一年半ほどで四大プロスポーツやカレッジフットボールの各カンファレンスの放映権契約などが次々と驚くような高額で更新されてきているのですが、そのトレンドに乗ってNBAのローカル放送まで大変な高額化になってきているようです。


NBAに限って言えば昨年夏~秋の労使交渉で選手のサラリーの総額は圧縮される方向での合意がされたわけですから、リーグから見れば近い将来の人件費の抑制には成功している。そこへアメスポ全体での放映権料の急騰トレンドがローカル放映権にも波及してきて、この急騰分はオーナー側丸儲けということになりそう。もちろんMiamiは特殊なのであって、例えば元々マーケットが小さく経済基盤の弱いCharlotte Bobcats(オーナーはあのMichael Jordan)などはこのアメスポの放映権料急騰の恩恵にどれほどあずかれるかどうかは不明ですが、Miamiでこの額ならウチもこれぐらい、とか各地でオーナーが利益最大化に向けて交渉をしていくのでしょう。

そしてTV局間のコンテンツ獲得競争の激化もあってTV局側も高額で長期の放映権契約をバンバン受け入れている。MLBやNHLのローカル放送も取り合い激化(NFLはプレシーズンマッチ以外は基本的にはローカル放送がありません)。その延長線上でその下のコンテンツとしてサッカーMLSやマイナースポーツもそのトレンドに便乗できる立場になっている模様(もちろん金額は桁が下がりますが)。

オンデマンドの番組配信が定着してくれば定着してくるほど「生もの」(=放送当日に見たいという欲求が高い番組)であるスポーツ番組の需要は他のコンテンツよりも重要になってきているようです。もうひとつの生ものコンテンツの代表格はニュース番組ですがこちらはネットで大幅に代替されてしまているのでスポーツ番組の良さがより強く放送局側に認識されていそうです。