No.1 Kansas 59-57 No.10 Davidson。最後までわからない試合でしたけどさすがに今日はKansasのサイズ勝ちでしょうか。
残り1分半あたりで来たStephen Curryのワイドオープンの3ポイントが入らなかったのが全てではないでしょうか。試合を通してあれほど視界が完全に開けたショットはなかった。Davidsonの試合は毎試合こうだったのですよ。相手が試合開始から徹底的にCurryに貼り付いていくんですが試合の帰趨が決まろうという残り僅かな時間帯に必ずこういう瞬間がやって来る。必ず開く瞬間がやってきて、そしてそれが見事に毎回決まっていた。それが決まらなかったのが今日。そして敗戦。あれが入っていたらこの試合の結果はこうはなってないでしょう。シューターというのはどうしても当たってない日がありますよね。これは致し方ない範囲内の敗戦。というか最初からNo.10の下位シードが全米最強レベルの相手と戦っているようなムードじゃなかったです。最初から最後まで五分五分の試合をやってのけての末の敗戦。堂々たるものでしょう。

Kansas側の勝因は三つ。
一つはDavidsonのしかけてくるCurryをフリーにするためのスクリーン対策。Davidsonの周到なスクリーンがこれまでは見事に決まってGeorgetownもWisconsinも沈められたんですがKansasは見事な対応。これはKansasのコーチ陣の勝利ですね。Davidsonがスクリーンをかけ始めると(スクリーンと直接関係ない位置の)外の選手がCurryが抜け出す先を察知してパスレーンに飛び出す。これでDavidsonが意図したスクリーンが成功してCurryに僅かの(しかしながら彼にとっては十分の)距離をディフェンダーとの間に作ってもそこにタイムリーなパスが出せないという具合。これは見事にKansas準備してきました。

二つ目はサイズを有効に使ってきました。DavidsonのF Andrew Lovedaleは背は6フィート8インチで横幅もないんですが、サイズ以上の素晴らしいディフェンダで相手の大型PFを相手に良い仕事をここまでの試合してきてました。ここにKansasは頭越しのショットを得意とする大型のセンターを合わせてきた。これが予想以上に効果的。というかこれは予定していたわけではないでしょうね。先発のC/PFが前半少々ファールがかさんで入れたサブのSasha KaunのLovedale頭越しのショットがたまたま当たった。レギュラーのもっと運動能力の高い選手には対応できていたLovedaleがこの大型の動きはないセンタータイプをを抑えられず。結局Lovedaleはファールが嵩んでファールアウト。Kaunは13得点。Kaunはシーズン平均で7点の選手で、ここで失った点数を取り返せなかった勘定になりますね。

三つ目はKansasが後半ファールをしなかったこと。前半ファールが嵩んだときはまずいかと思われたんですが結局誰もファールトラブルになることなくKansas側が必要とするメンバーを常にフロアに送り出すことができたし、Davidsonにフリースローを与え過ぎないで済みました。

結果的には順当勝ちとも言えますけれど、試合が終わった直後のKansasのヘッドコーチBill Selfのやっと勝ったかというボディランゲージがね、印象的。これだけ準備もしてやる事を全部やってもぎりぎりの勝利。最後のブザービーターDavidsonの3ポインターが入ったら大逆転負けというところまでの激戦になったこと、常勝を義務づけられる伝統校のヘッドコーチの重責を感じるところでもありました。伝統校Kansasはそれがどんな試合であったとしても無名校に負けるわけにはいかないのです。それもこんな試合で。
そしてだからこそこの試合にぞくぞくした物を感じられるわけですが。


それにしてもこのトーナメントの最大のスターStephen Curry最後までナイスゲームでした。今日はいまいち当たってなかったけれどそれでもここまで接戦に持ち込んだのは残り一分切って4点差からの彼の3ポインターで最後まで粘ったこと。マークしつくされ警戒されても決める土壇場のシュート。バスケの楽しさを存分に見せてくれた彼。彼がいてくれたからこそのこの楽しい二週間だったと思います。ありがとうを言いたい気分。
あまりにも活躍しすぎてひょっとしたらNBA行き?と心配しなきゃならなくなってしまったような。

彼はただのジャンプシューターではなく今日も二本ほどありましたけれど、大型選手の間をみごとに二人三人かわしてのレイアップが決められるのが非凡。これができるのとただのジャンプシューターや3ポイントスペシャリストでは選手としての価値がまったく違います。元々高校まではポイントガードをやってきた選手でボールハンドリングも得意でこれならチームによってはプロでも十分使える道もあるのかもしれません。なにより勝負強い。過去のNBAの名選手で言えばReggie Miller(Indiana Pacers)タイプですね。うん。

Final Four前日の恒例大学オールスター(マイナスFinal Four出場選手)によるダンクコンテスト、3ポイントコンテストがありますけれど当然Curryも招待されるでしょうからまだ楽しませてくれるかな。