MLSシーズンも今週末のMLS Cupをもって終了。
来季からの新しい展開としては
・カナダに初のMLSチーム誕生
・巨大ロゴ付きユニフォーム採用
・メキシコリーグとの対抗戦開始

カナダのToronto FCに関してはメンバー構成がどうなるかがひとつ興味。Houston DynamoでMVPクラスの活躍を今季みせたM Dwayne De RosarioがToronto移籍するのかどうかが焦点か。De Rosarioはカナダ人。MLS所属のカナダ人選手としては抜群。公式には一切発表になっていませんが、Toronto FCのサイトが詳しくDe Rosarioの週間MVPを報じていたりしてますからたぶん裏ではDe Rosarioの移籍は既定路線なのでは。

ロゴユニフォームの件はすでに書いてますから省略。

メキシコリーグとの対抗戦。これが実は期待の新企画。
MLSとメキシコ一部リーグとの対抗戦が2007シーズンから開始になります。全面抗争となるのは2008年からの予定で2007年は参加チーム数限定で行われます。詳細は発表になっていないですがたぶん双方から四チームほどが出ての対戦。MLSカップ決勝進出チームとUS Open Cup優勝のChicago Fire、それにレギュラーシーズン最高成績のDC Unitedが出場の運びになりそう。

CONCACAF(北中米カリブ地区)のクラブチームの争いとしてはすでにCONCACAF Club Championshipがありますがこれはアメリカじゃあ盛り上がらないんですよねぇ。一般米人の平均的な知識では名前だけ知っていればマシな中米やカリブの小国だと思っているチームが来ても盛り上がらない。その上MLS、勝てない。

過去二度だけアメリカのチームがCONCACAF Club Championshipを制してますが、そのうち1998年のDC Unitedの優勝の年は全戦地元Washington DCでの開催での優勝。もうひとつの2000年のLos Angeles Galaxyの優勝のときはくじ運に助けられて決勝まで一度もメキシコのチームともコスタリカのチームとも対戦のないままの優勝。このときはLA Galaxyは北米代表として世界大会で日本にも行ってますね。

解説しておきますとCONCACAF Club Championshipでは基本的にメキシコとコスタリカが常に勝ってます。なぜそうなるかというとその二国でサッカーが盛んなのもそうですがそれ以上に高地をホームとするこの二国が圧倒的に有利だという事情があるわけですよ。
これはW杯予選でもそうなんだけど標高2200mメキシコシティ行ったらもう他国のチームはボロボロなわけです。後半酸欠でまったく動けなくなってるビジター相手に試合終了間際まで容赦なく襲いかかり5-0とかで勝っちゃうんだよね。Home & Awayで一試合がこれだからもう一試合では返しようがない。だから常にメキシコシティの高地のチームが勝つ。メキシコの代表チームもメキシコシティで52戦無敗とかめちゃくちゃに勝っている。その無敗記録を破ったのが同じく高地に馴れたもうひとつの国、コスタリカ。
コスタリカは首都San Juanの標高は1000m以上。行ったことありますが、メキシコシティほどではないにしてもそれなり体調に来ます。予算に余裕のあるアメリカ代表なんかはメキシコシティやコスタリカでの公式戦の前のキャンプをロッキー山脈の高地トレーニングで行って身体を馴らしてから行くんですが、MLSクラブレベルだとそんな準備のしようもなく毎度毎度メキシコ行ってはぼろぼろにやられて帰ってくることになる。

という事情をふまえてもらえるとDCがアメリカの地元で全戦戦って勝ったとか、LAがメキシコ・コスタリカのチームに当たらずに勝ったとかいうのはある意味インチキ、インチキが言い過ぎなら特殊事情なんだよね。Home & Awayに戻されたら勝てない。そしてまた注目度が低いものだからMLSの方も予算をかけて準備してもいないし。

でそれが来季から新規にメキシコリーグとの対抗戦をぶちあげてきた。そこから推測できることがいくつかあります。
まずMLSがチーム力に自信を持ってきたということでしょう。MLSのトップチームならメキシコの強豪と当たっても惨敗し続けることはないと判断したからこそのこの企画でしょう。メキシコリーグの試合はアメリカでもかなり見ることができますが(スペイン語放送ですからスペイン語人口以外はほとんど見てないでしょうが)プレー内容の差はまだあるようにも見えますが、サッカーという競技の特性も考えれば惨敗続きになるというほどの差はないように思えます。
二つ目に対抗戦という形ということはメキシコ側のチームがすべて高地のチームとはならないと推測できるため勝ち目有りと読めること。また高地トレーニングの予算ぐらいはMLSが各クラブに出してくれる気になったということでしょう。この辺は例のESPNからの資金がモノを言ってるということでしょう。
三つ目としてMLSが米国内のヒスパニックのファンを取り込む気になってきたということ。過去MLSはサッカー狂のヒスパニックのファンを積極的にはターゲットにしてこなかった。彼らが来ちゃうと郊外の白人中流というメインターゲット層が入ってきにくくなるという面がありヒスパニックファンを積極的にMLSに持ってこようという動きが少なかった。二年前にChivas USAを参加させるまではまったくなかったと言ってもいい。
それが対抗戦という形を取り入れる。つまりヒスパニックのファンを半分スタジアム入れてもアメリカの固定ファンも十分入るという計算が成り立つぐらいにはMLSはファンの定着に自信を持ってきたのでしょう。常にビジターがメキシコのチームなら国内のメキシコ人人口をアテにできる。

その辺、MLSのもくろみ通りにいくかどうかはわかりませんが期待感はかなりあります。