SeattleのメディアあたりではYankeesがA-Rod, Alex Rodriguezを放出する意思がある場合、Marinersが獲得できるチャンスがある、と論じています。交換要員は今季後半になって打棒復活を遂げたAdrian Beltre。守備位置も同じ三塁手。Beltreは守備も固いし打撃復活となればA-Rodの交換要員としてはYankeesにとっても許容範囲。数字を並べて比べればA-Rodに軍配はあがるものの、元々YankeesがA-Rodを放出する場合というのは数字以外の理由で放出するわけだし。

A-Rodの球界最高給はこれまでTexas Rangers(FAのときに巨額契約した)とYankees(Rangersの金を一部肩代わりする形で契約)の二チームに支えられてきています。RangersはA-Rodと巨額契約して、A-Rod本人はMVPを獲得するなど実績を残したもののチームがどん底状態となり帳尻が合わなくなり、Yankeesに権利譲渡&巨額契約の負債を半減してもらっている状態。Yankeesからみれば球界最高給選手を半額で使っている状態で、Yankeesとしてはお得な状態で雇用中。冷静にみればYankeesがかんしゃく起こしてA-Rodのお得な状態を破棄するのはあまり得策とも思えないけれど、これだけ地元でバッシング&オーナーの怒りをかっていては残留させるわけにはいかないというのも理解できる。

翻ってSeattle Marinersの視点でみるとやっぱりA-Rodに郷愁を感じているんですね。Seattle MarinersがIchiro以前のスター軍団だったころの若頭A-Rod。当時のスター=Randy Johnson, Ken Griffy Jr., Edger Martinezがすでにキャリア晩年or引退で戦力として再雇用はオプションにならない中、いまだに現役ばりばりと言えるA-Rodが売りに出されると、できることなら取り戻したいという気になるようで。

実際に算盤をはじいてもたいした追加資金なしに獲得できる可能性も確かにある。元々BeltreをFAでとったときは結構な額で取っているので、A-Rodとの差額は(計算の仕方にもよるんですが)$9 ~ 13 millionほど。
BeltreがMarinersと契約した年のオフはステロイドへの規制強化が一気に進展したオフで、このオフを境に成績が激落した長距離打者が何人もいたけれどBeltreもそのひとり。一年半かけてやっとステロイド抜きの体に順応してきたようで今季後半になって成績も復活。やっと契約金額に見合う成績になってきた。
とはいえSeattleのファンからすればA-Rodに抱くような熱いファン感情はBeltreに対してはない。BeltreとA-Rodの差額の一部を現金で支払ってでもこの交換トレードはMariners側に意味がある。観客動員の減少が進んでいるMarinersのフロントからみればその程度の現金は観客動員が戻ることですぐに帳尻が合うから。

さらに言えばこのオフの松坂大輔への入札用に準備してきた現金がある。一説には$15 million程度。これ、New York Yankeesが準備していると噂される$30 millionクラスの大枚を松坂入札につぎ込んでくればMarinersにとっては入札に負けて浮くカネ。それだけで十分にA-RodとBeltreの差額は出る。
となるとA-Rod復帰で観客動員が戻った場合の入場料増はそのまま収入増となり、背広組からするとおいしい。松坂ではいくら地元ファンを煽ってもチームが勝つまでは入場料増を計算しにくいけど、地元ファンにおなじみのA-Rodなら大幅な前売りで収入増が見込めるから。

ということもあってA-RodのSeattle復帰はアリという見込みになってきています。