日本とちがって学校の夏休みというのは全国バラバラ、同じ州の中や隣接する学区ですら新学期の始まりが揃っていないのがアメリカ流なんですが、人口の多い地方ではだいたい八月中旬から下旬にかけて五月雨式に学校が始まる。だからそろそろ夏休みが終わります。

  それにしたがってMLBのかきいれどきも終わりということになる。この時期を過ぎるとさすがにペナントに関係のないチームへの興味は薄れるし動員も落ちる(ただ球団の方もその時期の客集めのノウハウがあって景品なんかで来場を誘うわけですが)。九月になればマイナーリーガーがシーズンを終えて試用期間としてメジャーに上がってくる。契約切れ間近のベテラン選手はもう出場機会激減になるものもいるし、シーズン終了後のFAを睨んで最後のデモンストレーションに励むものも出る時期。そんなこもごも。また同時期にNFLとカレッジフットボールが開幕になりMLBのプレーオフ開始まではスポーツファンの興味はそちらへという流れになります。

  さて今オフのFA投手の目玉はOakland A'sのBarry Zitoですが、それ以上にカネを集める可能性があるのが松坂大輔。まあ正確にはFAじゃなくてポスティングですが、MLB球団から見たらFAとほぼ同じ。

WBC MVPで名を挙げた松坂だけにかなりの高額提示が見込まれるところ。興味を示しているMLB球団は多数に上っているんですが、資金力で圧倒的なYankeesがどうしても松坂を獲るんだ!と決意を固めて臨んで来たらそれに対抗できる金額を用意できる球団は少ない。
  個人的にはYankeesよりもBoston Redsoxに行く方が似合っていると思うんですが、ポスティングという仕組みでは松坂個人の好みは球団選びに反映しない。あくまでカネで決定する話。

NYYとBosoxの金満二球団以外で興味を示していると言われているのはSeattle, San Francisco, Los Angeles, Texas, Atlanta, Baltimore辺り。SF GiantsはこのオフでBarry Bondsと縁を切ってカネに余裕ができるのではという観測。BaltimoreやSeattleはとても資金的に余裕がないように見えますがなぜか噂が途切れない。
主役となるYankeesはすでに松坂用の日本人のサポート人員を採用しておりやる気満々と見るべきでそれに対抗するような金額で獲り合いに参加するにはBaltimoreにしてもSeattleにしても現在の主力を切らないととてもカネが回らないはず。すぐ切れる高額契約の手持ちもないからどうしても松坂獲りに参戦するとなれば大物をYankeesなりRed Soxなりに放出しての松坂獲りにならざるを得ない。

Baltimoreの最高給取りはSS Miguel Tejada。でもYankeesは不動のキャプテンJeterがSSだし、3BもA-Rodで埋まっている。2BはCanoがオールスター選手に育ったところであまりTejadaを貰っても意味がない。地元に位置するケーブルTVとしては最大手のComcastがOriolesに多額の資金援助するという話もありますがどうなんですかね。

一方SeattleでYankeesが欲しがる大物と言えばそりゃあなんと言ってもIchiro以外ありえない。シーズン中からJoe TorreはIchiroを褒めるコメントを連発しているし、Yankeesの外野陣は打力優先で整備しているせいもあって守備に不安が大きい。好守揃ったIchiroが獲得できるなら松坂獲りも諦める帳尻は合う。
  ただYankeesの場合先発投手も必要なんですよね。Randy Johnsonはもう見切りをつけざるを得ない成績と年齢だし。Zitoも獲りに行くだろうけど、早い段階でZito獲得を確定できれば松坂にこだわるよりもIchiroの方がいいという判断も出てきそう。
  Ichiroはトレード拒否権を持っているからYankeesに行く気になるかどうかはわからないけれど、Seattleにそろそろ飽きがきている可能性も否定できないでしょう。ただIchiroと松坂は関係がうまく行っているようなので、WBCで「この日本代表と一緒に1シーズン、MLBを戦いたいよ」と感情を吐露したIchiroは松坂と一緒に過ごしたがるかもしれませんよね。