USCでニア三連覇を達成したQB Matt LeinartがNFLのプレシーズンで遂にデビュー。契約問題でぐだぐだしてキャンプのほとんどをプレーせずに過ごしたLeinartですがプレシーズン二週目にして初登場。まずまずのデビューだったんではないでしょうか。

前半の最後のドライブで出てきたんですが落ち着いたプレーぶりとクロックマネジメントでFGレンジまでチームを前進させた。スクランブルも二度。New Englandの圧力が手をかえながら来てもしっかり踏みとどまってナイスタッチのパスを連発。WR連中の落球がいくつかあったのでスタッツ的にはあまり良くもなく見えるかもしれませんが内容はまずまず。後半に入ってからはLeinartがボールは早めにリリースしないことを見越してNew EnglandのQBへの圧力が高まってきてスタッツは大幅下降。圧力を防ぎきれなかったArizonaの二軍ラインの問題でしょう。

Arizonaの先発WRにはLarry Fitzgerald、Anquan BoldinとNFL屈指の好レシーバーがいるだけに最終的に先発QBになれれば早々に相当の活躍が見込めるのではないでしょうか。ただ現状ArizonaのオフェンスラインはNFLで上位とは言えないのだから少々スタイルに幅を持たせて早いリリースのプレーを織り交ぜて行かないといけなくなるんでしょうね。


ところでArizona Cardinalsはカレッジフットボールでつい最近までおなじみだったQBを何人も揃えているのがカレッジファンとしては興味をひきます。
二番手として登場した元USCのLeinart。Leinartが出て来てすぐに三本も投げた相手が元Notre DameのCarlyle Holiday。NDにQBとして入学したときは低迷NDの救世主かと評判の高かったHolidayですが卒業までにWRへコンバート。というかQBとして見限られたんでしょうな。なんとかWRとしてArizonaに拾ってもらったもののドラフトでは無視された選手。それでもLeinartと一緒にプレーしたということはCardinalsのデプスチャートではさほど低くないということ。
あともうひとり元Michigan QBのJohn Navarre。地味ながらBig TenのQBらしい骨太のプレーを見せて楽しませてくれた選手。プロではちょっとしんどいか。


New Englandの方の二番手で出てきたQB Matt Casselってのが実はこれもUSCのQBだったという。これはびっくり。
USCのQBといえば現Cincinnati BengalsのCarson Palmerと、その後任で本稿の主役Matt LeinartがそれぞれHeisman(大学フットボール最優秀選手賞)を獲得しているわけですが、この二人のバックアップをやっていた選手なんだそうで。USC在学中途中WRやTEにコンバートされたりQBに戻ったり。さらに春のトレーニングキャンプは参加せずUSCの野球チーム(こちらも名門チーム)の方でピッチャーやっていたり。つまりは運動センスのいい選手なんでしょうがPalmer、Leinartという二人のカレッジのトップQBと居合わせたおかげて大学時代の実績皆無に等しいまま、それでもプロ入りできたという選手。それもQBとして。ひょっとして猛烈な遅咲きくんなんでしょうか。
WRができるということでNEからすれば元々はトリックプレー込みの採用だったのかもしれませんが(ドラフト七巡目全体の230番目指名)この試合では2TDパス。それにしてもカレッジで四年間実績ゼロから、NFLのトップチーム=New England Patriotsの二番手QBというのは考えられないほどの出世なんですけど。
いったいこの五年ほどの間にUSCにはどれほどの才能が集まっていたんでしょうね。尚、今年USCの先発QBとなる選手も相当にいいという評判です。