なにを隠そうPat Rileyファンの私としては、よくもキャラの立ったあのチームをここまでまとめたなというのがまず感嘆。Miami Heatが四連勝、4-2でDallas Mavericksを制して初優勝。

社長からヘッドコーチに復帰後、自分のフケ具合に気づいたのか白髪隠しに髪をブロンドに染めたRileyはいまだに馴染めませんが、手腕は衰えていなかったか。めでたいです。


優勝決定直後のインタビューでもShaq本人も言っていたけどShaqが自主的に主役の座から降りたことでチームがチームとして定まった。Shaqのエゴを充足しつつチーム運営というのは実に難しい。

なにせフリースローが入らないShaqだけに僅少差の試合の終盤にShaqは出せない。
誰か他の選手がそういう接戦の帰趨は背負って行かなきゃならない。過去ShaqのチームがFinalsまで行ったときはOrlando Magic時代ならPenny Hardawayが、Lakers時代ならKobe Bryantがその責を努めてくれたわけだけど、それなのにファンはShaqをチームの中心と見なす。
そのせいもあってPennyやKobeは自分が十分に評価されていると思えず、結局どこかの時点で感情的にバーストしてチームが崩れて行った。

それが今回はShaqが自主的に引いて、若いWadeを立ててくれた。戦術的にもコーチがShaqを外したプレーを多様する自由度も高まった。
もちろんShaqのスタッツの数字も明らかに下がりキャリアのピークを過ぎたのが顕在化して貢献度が下がったのが最大の要因であったものの、コーチなり他人が指摘して外すのはむずかしい。高いサラリーを払っているのにShaqのモチベーションを下げてしまう恐れが強くできない。冒険になってしまう。そこをShaqが自主的にセカンドオプションになると言ってくれたことでチームの風通しがよくなり、若くまだ実績に乏しい(対Shaq比)Wadeの才能を十分に使える基盤ができた。
その結果が見事優勝につながった。Shaqのナイスアシストと言ってよいシーズンだったでしょう。


Shaqは四つ目の優勝リング獲得ですが、それ以上に喜んでいるのは引退も遠くないベテランたちのはず。 Gary PaytonやAlonzo Mourning。

Mourningの方は上にリンクした記事でも貶しておきましたがMiami Heatでの第一次Riley政権時のHeatの中心選手。とてもNBAチャンピオンを中心選手として呼び込むような選手ではなかったのに、Rileyが得意の人たらしでAlonzoに勘違いをさせて疑似超一流選手として当時のHeatで奮戦。New York Knicksとの激戦の数々はポストJordan時代のNBAを支えた黄金カードとして鮮明に記憶に残ってます。Larry Johnsonとの殴り合いとか、その足にしがみついたJeff Van Gundyとかね。なつかし。
ゆうべの試合でもベテラン、大ハッスルでブロックショットを連発。初優勝をチームに大きく貢献して得ることができました。Heatの唯一の古株。ごくろうさま。腎臓移植など健康面の問題もありこのまま引退するかも。いやあのキャラの濃さだと引退してくれなくてHeatのサラリーキャップに一二年余計に迷惑かけるかも。

やっとたどりついたNBAタイトルという意味では個人的にはGary Paytonの方に思い入れが強いです。一番NBAをよく見ていた時代に強豪だったSeattle Supersonics。その当時の二大エースのひとり。抜群のディフェンスと口での攻撃の多彩さ、容貌など当時からキャラの立った好選手。
当時のSonicsはレギュラーシーズンでは圧倒的に強いのにプレーオフに行くと惨敗の連続。その後チームが弱体化してもSeattleにとどまりチームを牽引したものの、引退時期も近くなったところで優勝リングが欲しくなり慣れ親しんだSonicsを捨てて当時三連覇中のLA Lakersにすり寄り。かなり身も蓋もないリング獲得策だったのに、これも間が悪く失敗=Lakers四連覇失敗。
最後の優勝リングへの執念で再びShaqとHeatで合流、キャラ立ちまくりのHeatに加入したんですが、やっとのことで優勝経験できました。すでにプレーヤーとしては影が薄くなっていますが長い長い時期を経ての優勝。格別なものがあることでしょう。おめでとう。


この漫画的キャラの立った選手を揃えたMiami Heat(White Chocolateが話に出てこなかったか)。たぶんシーズン後には改造が入るでしょう。WadeをフランチャイズプレーヤーとしてShaq後継のセンターのことも念頭に。Wadeを除けばあまり未来のあるメンバーではないのは誰でもわかるわけで。
それはそれとして、こういうバランスの悪いでこぼこチームがNBAを制したのは珍しくていいかもなどと思いました。