全米四大ネットワークのひとつCBSがIndy500の裏番組にF1モナコGPを流す予定。
今シーズンの第五戦ヨーロピアンGPから放送しているので三戦連続地上波全国放送(それまでのレースはケーブルのモータースポーツ専門局=SPEEDで放送された)。

しかしなぜInday500の裏にやるのかがまず疑問。Daytona500と並んで知名度では文句なし全米最強のこのレース相手に視聴率争いで勝てるかも、と思っているってことですかね?いやまさか。
だとするとわざわざ裏番組としてぶつけてくる意図はなにか。
モナコGPは時差の関係で米時間では早朝~未明にすでに終了しているのをわざわざIndyの時間帯に録画放送=つまりわざわざぶつけてきているわけで必ず明確な意図があるはず。


可能性二つ。
1。攻め。
たしかに先日も嘆いた通りIRLはイメージ的なマイナー化が激しく、Indy500以外のレース情報は乏しく、ドライバーにしてもDanica Patrickぐらいしか話題にならない。それも女性ドライバー&化粧すればなかなか美人にも見えるという色物(失礼)扱いであって。

そういう状況から推測されるのは、人気弱体化激しいIRLを蹴落としてモータースポーツ界第二位を狙っての意図的なF1/CBSの挑戦だと見ることができる。時間をずらすのではなく真正面からの対決で商品としてどちらがより魅力的なのか見せようという意図かと。

同じフォーミュラーカー。一方はアメリカではおなじみ楕円周回コース。一方はテクニカルかつ風景の次々変わる公道コース。普段レースを見ない層がIndyを見るこの週、そういうカジュアル層がちらっとでも見てああこれおもしろいかも、と思わせることができれば十分に意図は達せられたことになるのでしょう。


ところで先週のIRLとF1の視聴率ではF1の方が若干先行。どちらも1%前後。暖かい時期の週末のスポーツ放送の視聴率としては悪くないですがマイナーの域は出ていません。元々米国内でTVの援護もあまりない人気の薄いF1からすれば健闘と言える数字。
もともとアメリカには移民が多いわけで欧州やブラジル移民の熱心な視聴が期待できるF1だけにその程度の視聴率ならコンスタントに出す素地はある。一方IRLとしてはF1にも負けるのか、というのは今後のスポンサーの動向に負の影響与えそう。


可能性2。
またはそんな立派な成り上がり指向の話ではなく、もっと守りの話で6月下旬~7月にあるF1北米転戦=Canadian GP, USGPの前宣伝。つまりFIAによる大規模なインフォマーシャル。

どっちもありそうだし、両方の意図があるのかもしれない。ただこれだけプッシュしてそれでもUSGPの動員が伸び悩むようだといよいよF1の再撤退も視野に入ってくるかも。
というところまで書いてから実際両方見た感想。
両方同時に見ているとIndayカーのタイヤの細さが弱そうに見えるなあ。もちろん楕円周回なんで横Gがなく必要ないからなんですが。
モナコGPはF1でも有数の人気コースであり、車載のカメラで見ると景色の変化やコースの切り返しがPS2のゲームより速い!F1初見のモータースポーツファンの目には新鮮に映るんじゃないでしょうか。
Indy500は恒例通り祝日Memorial Dayの三連休の中日の開催で、レース前のフェスティビティも延々放送されるなどさすがにビッグレースのムード満点。歴史も含め特別なレースであることは間違いないですね。普段見てない人でも知っているDanica Patrickが10位スタートからトップ5まで順位を上げるなどなかなか楽しめるレース展開。


気がついたのですが、以前はF1の放送は英国の放送をそのままアメリカで放送していたんですが変えたんですね。英国放送買って流すだけだとコスト的にはそれが一番安い。でもそれを止めてアメリカ人のアナウンス陣を採用してますね。これ大事。
なぜかというとアメリカ人一般あの英国訛りを聞くとそれだけで拒否反応を示しますから、広い人気を獲得するにはアメリカ英語での放送は絶対に必要なんです。これはサッカー放送なんかでも同じことで、Champions Leagueの放送などでもアメリカ英語を話す放送メンバーを入れ、内容もアメリカ視聴者向けの情報を流すようになってる。

Indyの内容の方は別項へ。