落ち着いてから考えてみると、メキシコ戦の最後、Ken Griffy Jr.を左殺し専門の左ピッチャーでしとめたのはともかく、その次のChipper JonesとAlex Rodriguezに連続四球を出したことで最後の緊張が高まったわけですけど、他方勝負がこの最強の三人ではなく格落ちの選手の手にゆだねられたわけですよね。
Griffyには効果的だった左殺しがChipper(スイッチヒッター)には相当に投げにくそうだったのでまあある意味順当にフォアボール。あの場面は一発を避けるのが最優先事項だからしょうがなくだったろうし、次のA-Rodにしてもまさかわざと四球を与えたわけでもない。

でもその次に出てきたのがVernon Wells。このWBC前半、Wellsかなり当たっていたのは確かだけど、ChipperやA-Rodと比較したら小物。実績で二枚落ち、ネームバリューで三枚落ち。相手ピッチャーが相対しただけでビビるという部分はない選手ですよね。結果的には最強打線の核を避けて勝負したことになる。

米側的に惜しかったのはすでに今大会ホームラン3本、日本戦でも同点ホームランを打ったDerek Leeが怪我欠場していたこと。まあ誰が打席に立ってもヒットの生まれる確率というのは50%以下というのが野球というものですが、最後がLeeだったら、というのは米ファンからすればあることでしょう。Wellsとでは格が違うし一球の失投ですべてが終わるというプレッシャーがWellsではないんだよな。


ただもし米国があの試合を勝って勝ち進んだ場合、今度は米国チームの構造的欠陥が目立って来たと思われます。
準決勝は日本戦にも投げたJake Peavey先発なのはいいとして、決勝にはDantrelle Willis、二連敗、ただ一人あきらかに調整遅れだか調子悪いだかWillisを持ってこないといけない展開だったからね。Dantrelleからしたら三連敗となれば完全に戦犯になってしまうし、だからと言って米国は投手陣をリリーフピッチャーばかりで構成しているからWillisの代わりに先発できる可能性があったのは老兵Al Leiterだけ。
Leiterの全盛期を知るものとしては残念だけどとても昨今のAlがドミニカ共和国の重量打線を4イニングも抑えられるとは思えず。またはリアルモードの敵国であるキューバとの勝負で決勝で轟沈するよりは名誉ある接戦負け、誰にもよくわからないタイブレーカーで終戦というのは結果的には傷が浅いということになるのかもしれません。

勝ち抜けなかったけど、野球の短期決戦とはそういうもの。決して悲観すべき内容ではなかったし、Jeter、Clemens、Ledge、Chipper、Jr.、A-Rodと言った文句無しのスーパースター選手だちが本気になって戦ってくれたことはすばらしいことだったと思う。
WBC、これからも定期的に続くということになっているけど、次回もぜひいいチームを送ってきてもらいたいと切に願います。
NBAがオリンピックにベストチームを送り出せなくなって久しいけど、あんな程度の名前だけの「ドリームチーム」を見るなんていうのはホントつまらないことだから。これに懲りずに次回もぜひ>米国代表