アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

サッカー人気の中身 Gallup調査編

Gallupというのはアメリカの市場調査会社の老舗です。手がける分野は広く言ってみればなんでも調べる。その一ジャンルとしてスポーツ関連でも長年定点観測の貴重なデータを集収公開している会社でもあります。データの信頼性は高いです。

アメスポにおける各ジャンルの人気の推移データとしても多く引用されるので日本のアメスポファンもご覧になったことがある方は多いかと思います。最もよく引用されるのは「What is your favorite sport to watch?」という一択質問の結果でしょう。長年同じ質問形態を保っているのでその経年推移はアメスポの人気の推移を映し出す良い資料となってます。参考までにコピペすると以下のようになってます。

2017201320082007200620052004
%%%%%%%
Football37394143433437
Basketball1112911121213
Baseball9141013111210
Soccer7432232
Ice hockey4344243
Auto racing2233455
Tennis2311132
Golf1222322
Volleyball1*1**1--
Boxing1121211
Gymnastics1*111*1
Motocross1*****1
Ice/Figure skating1112334
Rodeo1****11

小数点以下四捨五入の%。
この資料単一でも様々なことが言えます。サッカーに関してだと上昇トレンドになったのは数年内のことでほんの10年以上前だとフィギュアスケート辺りと上だ下だを争わなくてはいけない時代があったこととか、NASCARを含むモータースポーツはその人気のピークを10年以上前に打ったであろうこととか、野球がなぜか2013年調査でピークになっていることなどが目立つところでしょう。2013年に野球になんかあったっけ?という感じですが。

ただしここで留意すべきなのはこの資料が一択の回答を元にしていることです。アメスポではまったくもって当然のことですがフットボールファンだってMarch Madnessは当然見るわけです。大いに熱狂もするでしょう。でもそういう数字はこの調査では拾われないわけです。私個人で言えばそうとうにいろいろなジャンルを楽しみますが、もし一択で回答を求められたら自分のfavorite sportsはカレッジフットボールと答えるでしょう。でも例えばNBAも相当の試合数を毎シーズン見ます。たぶん大半のNBAファンよりも試合数は見るでしょう。でもそういうのは数字に出ない調査なんですね。
定点観測の大きな価値があるのでこの調査は今後も同じ内容で続けられるべきものですが、各ジャンルの人気の中身がどうなっているのかは別の分析が必要になります。この資料だけで結論づけるのは無理がある面があるのです。

Gallupはちゃんと他の調査も様々にしてるんですね。例えば「For each of the following, please say whether you are a fan of that sport or not.」という設問でここにあります。それぞれのスポーツについて「あなたはファンですか、非ファンですか」を問うているものです。

ざっと結果を列記すると(ファン/非ファンの%)
プロ野球 47/48、プロフットボール 54/44、プロバスケ 34/60、プロホッケー 24/72、カレッジフットボール 52/44、カレッジバスケットボール 34/62、モータースポーツ 27/68、プロサッカー 24/71、フィギュアスケート 34/58、プロレス 8/89 などとなってます。
どうでしょう。最初の資料とはかなり違うものが見えてくる数字が並んでいると言えるでしょう。最も頻繁に引用されるGallupの資料だとサッカーが野球に肉薄しているかのように見えますが、実質複数回答となる設問のこの調査だとサッカーは狭いファン層、野球はずっと幅広いファン層を持っていることが伺えます。同じく野球との比較で野球の人気を近年になって抜いたと認識されることの多いプロバスケNBAですが、実はファン層は意外と狭い(対野球比)ということも示されてます。非ファンだと回答する人が野球やフットボールと比較してかなり多いです。最初の資料だけだとアメスポでダントツ一強のように見えるプロフットボール(事実上=NFL)でも人口の44%は興味がないという結果になってます。またフットボールはプロもカレッジもほとんど同じファンの割合です。これが一択になるとNFLの方が圧倒的に一強の人気、のように見えてしまうんですけどね。そういうわけで一択の調査結果だけではわからないことが見えてきます。

サッカーについて見れば自身をサッカーファンと自覚する人は24%。ほぼ国民の4人に1人。けっこう多いのではないでしょうか。これはホッケーファンとほぼ同じ、モータースポーツやフィギュアスケートを下回る。熱心なサッカーファンがサッカー人気を牽引する裾野はかなり狭いジャンルと言え、サッカーよりも狭いファン層で、それにも関わらず盛り上がっているというとプロレスぐらいしかないということになります。
ホッケーとサッカーの比較で言うとファン・非ファン比率がほぼ同じなのに、一択の方の調査結果だとサッカーの方がずっと大きい数字になっている。これはホッケーファンは他のアメスポメジャーファンと重なりが大きくて、一択で回答を迫られたときにかなりの人がホッケー以外を回答している可能性が示唆されます。逆にサッカーファンはサッカーへの忠誠心が強いという言い方も可能でしょう。この辺りは私の体感とも合う調査結果に思えます。サッカーファンは一神教型、ホッケーファンは多神教の一部を構成という感じでしょうか。

サッカーのファン層が伝統的アメスポメジャーよりは裾野が狭めとは言えホッケーと同等なら立派なもののはずですが、先日論じた通りサッカーの熱狂的なファンを多く含むヒスパニック人口がアメリカ全体の17%を占めているという事実と複合的に考えるとちょっと問題もあります。ヒスパニックの全員がサッカーファンとまで極端な仮定はすべきではないでしょうが、それでも24%のサッカーファンと回答した人たちのうちのかなりの部分をヒスパニックが占めている可能性はあります。
もしそうだとすると非ヒスパニックのサッカーファンの割合はここでの見かけの24%よりかなり小さい可能性が高い。前回Our Soccer編で取り上げた通りMLSはこの狭いファン層をきっちり動員したりTV視聴につなげたりしないと数字が上がっていかないことになります。動員の方ではいくつかの新市場でうまく行ってると言えるMLSですが、TVの方では苦戦が続いてますね。
中期的にはこの裾野の狭さをどう解消していけるかが課題になります。

契約延長成約続く 2021年回避問題

大物の大型契約延長が続いた今オフですが、開幕後にも契約延長の動きは続いてます。Xander Bogaertsの6年延長を最長に、Randal Grichuk、German Marquez、Ronald Acunaと4−5年の契約延長がバタバタと決まってます。これらの契約は満了時までにすべて2021年を超えます。最近の契約延長で2021年を超えないのはJustin Verlanderぐらい。Verlanderの新契約は2021年シーズン終了時に契約満了。

2021年は以前から指摘している通りMLBの労使協定CBAの改定期です。CBAの改定ということは新協定の労使の交渉が行われるし、交渉が難航した場合にはストやロックアウトとなる可能性がある。
過去2オフ、オーナー側のペースでFA市場が冷え込んでいるため今季2019年シーズン後にFAになる選手は暗鬱でしょうし、もっと悪いのは2021年に契約更改期が来る選手で、労働争議勃発で自分の契約交渉がまったくできなくなる可能性もあります。

そのリスク回避で4−6年の契約延長がバタバタと決まっているというふうに私には見えます。これは2月に「MLBのFA市場は厳冬から衰退へ移行していくのか」という記事を書いたときの読み筋が当たっていたということになります。ただあれを書いた当時はここまで選手側がバタバタと陥落していくとまでは思ってませんでした。大物が次々現在の所属先との契約延長を決め、ここへ来てそれよりもランクの下がる選手たちも2021年を回避する契約延長を次々と受け入れています。
Justin Verlanderは例外で、年齢的にもHoustonからオファーされた巨額の延長の内容で満足しているということでしょう。2021年は自分はもう引退するから契約がそこで切れても関係ないという意味でしょう。


舞台裏はこんなふうになっているのではと以下のように想像するのですがどうでしょうか。
厳冬FAで権利を侵されたと感じている選手たちがいる。特に今季後来季後FAを控えた選手たちが。たぶんそういう選手たちや選手会の指導層は選手会内や選手間で不満をぶちまけたり、次期CBAに向けて強行措置をとろうと他の選手たちに結束しての行動を呼びかけたりしている可能性があります。一旦労働争議となると労働法の規定に厳格に縛られてしまうので、選手個人とオーナーの接触は禁止されます。労働争議の可能性のある時期に契約が切れてしまう予定の選手は身分が不安定な状態のままスト突入になるし、労働争議解決後にやっと契約交渉を開始できることに。契約がCBA更改後までしっかりある選手とは比較にならない不安定さです。選手会の指導的メンバーからストの可能性の檄が飛べば飛ぶほど、一般選手はその時期に契約更改がぶつからないようにしたいと考えるはずです。それが開幕後にも関わらず契約延長の妥結が続いている背景なのではないか、と推測してみたいです。

World Surf League on FS2

さしたる意味はないのですが、つい最近サーフィンをTVで見かけないと言ってしまったばかりなので一応。FOX系列のFS2でWorld Surf Leagueというのをやっているのを発見。6時間という放映予定時間で生でオーストラリアから放送しているようです。たぶん昨日も放映予定には入っていたけれどなにか他のものを放映していたと思うので、前日は天候不順かなにかだったのかもしれません。

調べてみると年間を通して世界ツアーをする同名の選手権の今季第1戦のようです。Quiksilver Pro Gold Coastという大会名になってました。9月にはアメリカにも転戦、カリフォルニア州に来るようです。五輪デビューが来年に迫る中での今季ということで放映でしょうか。

サッカー人気の中身 MLS Our Soccer編

国内プロリーグであるMLSは今年も3月上旬に開幕。「Our Soccer」を売り文句に番宣を展開しています。Our Soccerというこの短い語句の中にさまざまな苦悩や決意が現れてる気がします。

過去MLSはサッカー好きの多いヒスパニック、特に在米メキシコ人を取り込むべくさまざまな施策をほどこしてきました。その最たるものがChivas USAの設立だったわけです。メキシコの人気サッカーチームChivas Guadalajaraの名を借りて2004年にチームを設立。Guadalajaraの姉妹チームとして売り込んだんですね。そうやってLos Angeles近郊に多い在米メキシコ人の取り込みを狙ったのですが、結果は失敗。失敗の要因はいろいろあったんですが在米メキシコ人に浸透できないままで動員不振。2014年にチーム解散の憂き目に遭ってます。
リーグ設立から四半世紀を経てMLSはヒスパニックをターゲットに浸透するのは諦めてOur Soccerとして非ヒスパニックに舵を切ったことに。現状狭いマーケットですがそこを裾野を広げるべくコツコツ開発することになります。

Our Soccerというぐらいですから、その対比として「Their Soccer」もあるわけです。

MLSにとってのアメリカサッカー業界でのTheir Soccer、つまり一般的な意識で言うところのアメリカ人とは違う人達に支持されているMLSの競争相手は、ヒスパニックが熱狂するメキシコ代表やLiga MX(メキシコ国内リーグ)だけではありません。英Premier League(EPL)もMLSよりも高い視聴者数をコンスタントに出しています。ヒスパニック編で触れた非ヒスパニックの1/3しかいないサッカー視聴者のうちさらにその多くはMLSではなくEPLを見てるわけです。

EPLが本格的に配信家庭数の多いチャンネルで放送されるようになったのはどうでしょうここ6-7年ぐらいのことです。それがあっという間に四半世紀コツコツ放映を続けてきていたMLSを抜き去っていってしまいました。MLSが長年かかってもできなかった地上波での定時放送もEPLがあっさりやってのけている。英国とは5〜8時間の時差があるので東部時間でも午前中の放送、西海岸だと夜明け前の放送だったりするのにMLSよりずっと良い視聴率の数字を出してしまうのですからMLSとしては悔しいところでしょうが、しかしそれが現実なんですね。Their Soccer強し、というわけです。

他にもTheir Soccerには上はUEFA Champions Leagueがあり、下は中南米各国のサッカーも米国内では見られます。移民の多い都市だとペルー人向けチャンネルだのコロンビア人向けチャンネルだのと国ごとに細分化されたチャンネルがケーブルTVで多数提供されていてそれぞれ週末になるとその国のサッカーの試合を放送していたりするのです。強敵難敵競争相手は多い。

そういう移民国家ならではの事情がある中、MLSがOur Soccer、アメリカ人のためのサッカーリーグとしてどう人気を伸ばしていくのかは実はアメスポのメインストリーム内でのサッカーの地位上昇にとってはより重要なのだと思っています。移民国家と言えども二世三世と世代が下ってゆけばどんどんアメリカナイズされていくのは自明だからです。
Seattle Sounders、Atlanta United、そして今季参入のFC Cincinnatiと地元の支持を得て3万人クラスの動員ができるMLSチームが徐々に増えてきたことはOur Soccerとしてサッカーというジャンル内で地位を向上させていく過程として大いに注目すべき点かなと思われます。


MLSの放送も進歩してきているんですよ。昔に比べたらカメラマンもわかってきているなぁと思われるところがあります。最初期の頃はカメラが必死にアップでボールを追うばかりで、なにが起こってるのかまったく見えないひどい代物でした。どう見ていてもさっぱりわからない。最近は試合の流れに沿ってスムーズにズームが切り替えられて対人をアップにしたり陣形を見られる画角になったりと、ああこのカメラマンは明らかにサッカーがわかっていると納得できる番組になってきてます。そういう変化はあまり見ない方には感知しにくいでしょうが観戦文化の熟成として歓迎したいところです。他のアメスポ人気各種でもそうやって徐々により見やすい番組を作ってきたわけで、サッカーもそういう段階に来たんだなという。

神の目スカイジャッジの導入

NFL昨季のプレーオフで物議となったパス妨害へのノーコールの件。来季に向けての当座のNFLの回答はパス妨害に限ってノーコールに異議をつけることができる権限をビデオ審判を加えるという運用にするようです。なにもしないわけにはいかないからやったという感の強い措置ですが、とにかくそういうことになったようです。2019年シーズンのみのルール変更というのもしかたなくやった感が強い。

この新措置には伏線がありました。今オフに始動した新プロフットボールリーグAAFでのビデオ審判、通称Sky Judgeの運用もそれです。AAFはいくつかの新しいことを試しています。フィールド上の審判の数を1増。またビデオ審判と主審との会話をそのまま公開しているというのもあります。どの部分を問題にして見ているのかが視聴者にわかる。透明性という意味で大変良いでしょう。
このスカイジャッジはAAFではフィールド上でコールされなかった反則行為をとがめて試合を止めることもできます。この部分をNFLも借用しようというわけです。

実際にAAFではスカイジャッジの権限でノーコールだったレイトヒットを処罰したりということが行われています。パス妨害がスカイジャッジによってとがめられたというシーンは個人的には知りませんが、それもスカイジャッジの権限内。
今回のNFLの措置は問題になったプレーオフでのシーンを二度と起こさないため、という明確な問題意識での導入です。
以前に当ブログではビデオ判定をノーコールにも適用したらオフェンスラインのホールディングなんて細かく見られたら毎プレイで起こっていてなんともならなくなる、という点を理由に反対したわけです。その点はNFLも苦慮したのでしょう。パス妨害に限ってのスカイジャッジ運用とか。苦しい感じもしますが、これで何もしなかったという批判はかわせたのですから事なかれ主義の現コミッショナーにとってはこれで十分なのかも。

Bryce HarperのWashington帰還

Philadelphia Phillies@Washington NationalsのMLB Networkでの放送予定が雨天で順延中。Harperがブーイングを食うのか歓迎の意を元のファンから受けるのかという試合でしたが予定通りにはいかなさそうです。

時間が余っているのでMLB NetworkがHarperのことをあれこれと解説していました。おもしろいなと思ったことをひとつ。
昨季のNationalsでの最後のシーズンのHarperの成績がふるわなかったのはMLBファンは誰しもご存知のことと思います。それをシーズン前半と後半に分けて対比。Statcastによる打球の射出角度と打率でそれを示していたのがちょっとおもしろいかなと。なんでも昨季前半戦のHarperの打球の平均射出角度は14.7度。これが後半戦は12.7度まで下がったんだそうです。その結果、打率が前半戦.214、後半戦.300だったとか。FA資格を得る直前シーズンということでHarperはかっこよくホームランを量産しようとして打ち上げまくっていたのではないか、というのがMLB Networkの推測。それが例のホームランダービーでの優勝を経て、チームに戻ったあとに打撃コーチと話し合い打撃を変えてみたというのですね。

打撃の変遷はそういう話なんですが、その結果の向上の結果として打率を持ってきてるのがおもしろいかなと。日本のMLBマニアの方にかかるといまさら打率を持ち出すのは無知の極み・時代遅れだと散々に言われるかと思うのですが、MLB Networkは一方ではStatscastという新しい道具を持ち出してHarperの打撃が前後半で変わったと示し、その結果が好転したという部分では最も古典的スタッツの打率で語るんだなあ、と。

追記
試合は45分遅れで開始。1回表Harperはブーイングされまくり。無死1-2塁のチャンスに登場して空振りの三振でスタジアム大喝采となりました。
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