月曜日午後6時という微妙な時間帯に設定されたブラジルW杯の米代表の初戦=対ガーナ戦は速報値で6.3%、1100万人の視聴者を獲得。すごい数字を出したと言えると思います。放映はESPN。前項で指摘したとおり終わったばかりのNBA Finalsに押されて決してESPN.comでの扱いは良くなかったのですが蓋を開けてみれば好視聴率。大差の試合の連続で視聴率的には数字が出にくかった今年のNBA Finalsを尻目にサッカーも視聴率の数字は出せるということを示した試合になったと思います。
開始30秒でのClint Dempseyの個人技での先制ゴールから始まり、Jozy Altidoreの負傷、Dempseyの血まみれダウンと最小得点の1-0で折り返したものの前半は視聴者の興味をつなぐには良い試合展開。後半に入って30分以上残っているのにドン引き戦術(なのか勝手にずるずる下がったのか不明ですが)の米代表にガーナが次々襲いかかるのも視聴率的にはまあ良かったんですかね?戦術的には下の下だと思いましたが。そしてガーナが同点に追いついた後にガーナが攻撃をやめてくれたのが幸い。抜擢で代表入りした例のJohn Brooksが途中出場で決勝ゴールを決めて2-1の勝利。母国ドイツの国籍持ちを徹底的に優遇して構成した今回の米代表。私を含めて批判する向きはかなりあったはずですが、こうやって決勝点を抜擢した国際移籍選手が決めてしまえば、勝てば官軍。同組でポルトガルがドイツに大敗を喫したことで次戦対ポルトガル戦は引分ならほぼグループリーグ突破成功になるはず。好視聴率でも、ピッチ上でも大変な好結果を残したことになります。
視聴率の方ですが、細かく見ていくといつも通り視聴率の高い地域は首都Washington DC, New Yorkと移民比率の高い都市圏が上位に来ていますが、以前と比較すると全米のあちこちで視聴率の底上げがされているのも見て取れます。これだけサッカーを視聴するという層が増えてきたのでしょう。私の実感でも若いアメリカ人はサッカーに抵抗感(または「退屈」という先入観と言っても良い)が少なくなっていると思います。熱狂しているかというとまたちょっと話は違うのでしょうが、こうやって実績を重ねられるのはアメリカサッカーにとっては大事な進歩だと思います。
Jozy Altidoreの肉離れについては「復帰に期待」とKlinsmann監督のコメントが出ていますが不明。まあポルトガルに先発事情を知らせないためにわざと隠している面もあると思いますが復帰の可能性はよくわからない。Jozyに変わって途中出場したAron Johannssonはせっかくの出場機会でしたが輝けず。W杯前の壮行試合では空きスペースを探す才能の片鱗を見せてくれたのですが、この日のガーナ相手には隙間が見つけられず。ではどうするか、という次の手が見えないところが不満。個人で打開できる選手ではないのか。なにせほとんど米代表歴がないのでどういう選手なのか私にもさっぱりまだ掴めないままです。
ぐちゃぐちゃ言い訳をしてDonovanを切った経緯、さらには落選当初は「Donovanは24人目の選手だった」という言い訳が「ケガ人が出たからと言ってDonovan招集には直接つながらない(Jozyのケガの前の時点のコメント)」と変化していったKlinsmann監督。既に感情的にダメなのかどうしてもDonovanは呼びたくないみたいですが、Jozyの復帰がムリとなったらどうするのか。フォワードはDempsey, Johannssonの他にはChris Wondolowskiしか今回帯同しておらず、前線が手薄なのはJozyのケガの前からわかっていたことで、そこにさらにケガ人が出ても個人の好みを押し通してDonovanを拒否するんですかねえ。個人的な見解としてはそこまでKlinsmannが頑迷ならDonovanを追加招集したところで大事なところで使うこともない(それでヒーローになられたらKlinsmannの面目が潰れる)のだろうし、もうKlinsmannの好きにしたら良いかなとも思います。
Donovanは現在もMLS Los Angeles Galaxyがシーズン中。W杯放送にLos Angelesから生出演でゲスト解説にかりだされています。内心はどうなんでしょう、追加招集での逆転四大会出場を心待ちにしているんでしょうか。