Tebowがらみで保証のない契約というのは出場機会を重視する選手にとっては実は良い面もあるのではないかということを少し思いました。
ちょっと話がずれますがMLB Miami Marlinsに行ったIchiro選手なんですが、打席が増えるごとに細かくボーナスが付く契約にしたというのをシーズン前に読んで、これはIchiroにとって良くない契約だろうということを思いました。詳しいわけではないですがIchiroにとってはキャリア通算安打数を重ねることは大事な晩年キャリアのテーマだと理解していますが、その場合安打の前提となる打席が増えるごとにチームの出費が増えるという契約はテーマに逆行しているだろうと不審に思いました。例えば200なり300打席保証(それ以下なら違約金を球団が払う)ぐらいの契約の方がいいのになんて思いましたがどうなんでしょうね。Marlinsは開幕ダッシュに失敗。もし夏頃までに脱落モードとなれば打席数が増えるとボーナスが増える契約だとフロント側から飼い殺し指示が入る可能性があるでしょう。飼い殺しモードに入った場合のIchiro側からのFA取得の条項が入っているのかどうか。それもないならキャリアの残り年数の少ないIchiroにとってはまた痛い機会逸失となる可能性のある悪い形態の契約な気がしますが。
さてTebowの契約。NFLの選手契約は四大スポーツの中で最も不利と言える慣習がまかり通っていて、例えばNFLでの「五年契約」というのはMLBでなら「二年契約+三年目〜五年目チームオプション」と表現すべきものであることが多い。NFLがアメスポ最強の地位を占めながら選手の待遇ではNBAやMLBに劣る場面が多い。もちろん選手数が多くて試合数が少ないからで、それは承知していますがNFLの契約慣行が選手に不利なことには変わりありません。その結果のひとつの現れが今回のTebowの契約のようないつでも切れる契約。NBAなら10日契約など短期契約のルールが確立されていたり、一定以上の日数を契約すれば残りのシーズン分は支払いが強制されるなどの条項で選手は守られますがNFLはそういう部分で選手は守られていない。
ただ逆に言うとTebowから見れば自由に切られる可能性がある中、まだ切られていないのならばEaglesはTebowを使う気があるのだと判断できるとも言えるかもしれません。
特にTebowの場合は彼専用とも言うべきプレーが設計されるでしょう。またはOregon風のハリーアップからのQBの3rdダウンからインサイドランの連発で次の1stダウンまでセットで攻めるとかもTebowの起用に期待を持たせるでしょう。そういったTebowスペシャルを練習で毎週こなし、契約も維持されているならば、HC Chip Kellyはそのプレーをワイルドカードとして内ポケットに隠したままで試合に臨んでいることになる。Tebowから見ればそこから自分がプラン内なのかそうでないのか読めるのだと思うんですよね。そういう意味では良い契約なのではないかと。保証契約だったら使う気がなくてもチーム内に維持せざるを得ないし。またNFLはQB3人目をアクティブとするかどうかで制限があったはず。3人目のQBとなるであろうTebowは試合当日に自分がアクティブと指定されれば(その場合通常スペシャルチームで出場するであろう6人目のLBなどが一人削られる)そこでも自分のプランの内であることを確認できる。上記のIchiro選手の飼い殺しの可能性のある一年契約よりは良い契約かもと思ったりもしたわけです。