アメスポ最強NFLのオールスター戦であるPro Bowlと放送時刻がかなり重なる形となって開催されたのがホッケーNHLのオールスター戦。個人的にはPro Bowlの方はもう何年も前から見限っていて見もしないので良いのか悪いのかまったくわかりません。
NHLのオールスター戦は今季からレギュラーシーズンの延長戦でも採用され始めてヒットとなっている3-on-3での初開催。NHLの4地区から選抜された選手たちを地区ごとのチームとして、東カンファレンスのAtlantic x Metropolitan、Central x Pacificの準決勝(20分)を経て、決勝戦を行う(これも20分)という新機軸。レギュラーシーズンでは僅か5分間の延長戦の大半が3-on-3のスピード感のある戦いで決勝ゴールを生み出すという好結果を生んでいた新ルールですが、これがオールスター戦でどうなるのかという実験でもありました。結果は大成功と言っていい熱戦の決勝となりました。優勝チームには$1ミリオンが進呈されるという設定。各チーム11人なので一人当たり$9万ドルほど。全員がマルチミリオネアのNHLのスター選手たちにとっては大した金額ではないです。
が、実は今年はNHLの選手じゃない選手が一人混じっていたわけです。そう、例のエンフォーサのJohn Scott(AHL St. Johns IceCaps所属)がPacificのキャプテンとして参加していました。ファン投票でJohn Scottがオールスター戦に選出されたときには、NHL本体はそれをファンの悪ふざけだと思ったかどうも裏でScottの参加を阻止しようと動いた形跡がある。それが様々な紆余曲折を経て、Scottが率いるPacificが優勝となり、$9万ドルを非NHL選手がゲット。NHLに在籍した7年間で5ゴールだった選手が、この日の準決勝で2ゴール。プレーオフMVPにも選ばれてスポンサーから提供のHondaの新車もゲットと、マイナーリーグホッケー選手としては夢のような展開となってます。
それでもScottは決勝戦はほとんど良いところなし。決勝は両軍が真剣になってしまったのでスピードに劣るScottが手出しできるような展開ではなかったか。良い試合になってしまいました。意外でした。Roberto Luongo、Johnathan Quick、Ben Bishopといった代表級スターゴーリーがナイスセーブを連発するし、攻める方も守る方も選手たちが入れ込んでいるのがはっきりわかる展開。得点も最終スコア1-0と最少得点差。得点者はAnaheim Ducks Corey Perry 。 Corey Perryはもう一度ゴールを決めて2-0になったかという瞬間もあったのですが、これも今季から採用のチャレンジ制度でビデオ審査、ゴーリー妨害が認められて1-0に逆戻り。一旦は勝負あったと思われた試合が再び最小点差となり、最後はエンプティネットでの4-on-3からのAtlanticの攻撃。最後の最後時間切れの瞬間に最後の望みを賭けたスラップショットがゴールを襲ったんですが、これをJohn Gibson(Ducks)が防いだところで試合終了。いやー緊張感のあるNHLオールスター戦、初めて見ました。良かったです。
3-on-3、チャレンジ制度、新方式での地区別チームでのオールスター戦、全てが噛み合っての成功。選手たちも最後まで力を振り絞っての攻防で、やっぱりスポーツはこうでないとというものになりました。過去おちゃらけのようなほぼディフェンスの無いホッケーから、こういう新しいものを産み出したNHLの経営側の発想・企画力は大いに褒められて良いものだと思いました。