アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

W-Leagueが第三の女子プロサッカーリーグを目指すとして

コメントでおもしろいお題をいただきましたので記事を書いてみたいと思います。女子プロサッカーのWPSが正式に活動停止を発表したのがつい先週末だったか。史上初の女子プロサッカーリーグだったWUSAに続いてWPSも解散、WPSの選手たちの一部はUSL W-Leagueのチームと契約するなどしてこれから長く続くかもしれない女子プロサッカーなしの期間を過ごすべく身の振り方を模索しています。

WPSの活動停止を受けてあるWPSの選手が手記でおもしろいことを書いていました。「WPS=Women's Professional Soccerはこれでなくなるが、women's professional soccerはこの国に残る」というもの。固有名詞としてのWPSはなくなるが、一般名詞としての女子プロサッカーは続くはず、という期待も込みで力強く文章を結んでいました。これだけアメリカで人気のある女子サッカーはまだまだ復活の余地はあるはずなのは私も同意したいのですが、それをどうまとめていくかの方法の模索が関係者の間では始まっているはずです。現時点では主力のスター選手たちはこの夏のロンドン五輪に集中していることもあり具体的になにを目指すかはまだ見えないのが現実でしょう。


女子代表の人気者でもGK Hope Soloが生まれ故郷のSeattle Sounders Womenと早々に契約。Soundersはさらに代表の次世代のスーパースター候補の二人のFW Alex MorganとSydney Lerouxとも契約して今現在の所属メンバーでは一番派手な陣容となっています。代表のメンバーたちは代表の活動を優先するのでSoundersと契約下と言ってもそれほど多くの試合に出場するわけではないと思われますが、それでもネームバリューによる宣伝効果は確実にあって、過去ほとんど注目を浴びる機会のなかったW-Leagueの動向がいろいろネット上を賑わせています。

お題でいただいたのはこのW-LeagueがそのままWPSに代わる女子プロリーグの拠点リーグ化するのはないのか、という点です。


USL W-Leagueは形式上2部リーグですが、1部WPSが存在しなくなったので自然に最高位リーグになったという状態ですよね。W-League自体は1995年創設とされ、けっこうな年数存在しているのでいままで通り地方ベースのセミプロ/アマリーグのままならこれからも存在し続けられそうです。が、それがWPSの代替となるプロ化というと可能なのかどうか。


いまのW-Leagueの様子を見るとまず目につく良い点はMLSの女子部として存在するチームもいくつかあること。男子MLSと同じ施設やスタッフなどインフラを共有できれば事務方の運営コストを下げられる利点や、場合によってはMLSとダブルヘッダーと言った相乗効果を狙った開催方法が可能かもしれないところでしょうか。

アメリカの女子プロリーグが二度まで短期で崩壊していったのと比較すると欧州の女子サッカークラブが多数安定して存在していますよね。では欧州女子サッカーがアメリカのプロリーグよりもTV放映が多いとか動員が強いのか、というとそうではありません。極一部のチームはプロ待遇ですが、ほとんどの欧州女子クラブはアマと言っていい。それでなぜ安定して存続できるのかというと、それは同クラブ内男子チームが稼いだお金を運営費としてアテにできるからです。アメリカでも同様の例として女子バスケプロリーグのWNBAが創設以来赤字続きでも男子NBAからの補填で潰れる心配がないという例があります。または大学スポーツでフットボールと男子バスケが稼いでくるお金で他のマイナースポーツの運営費が安定的にまかなわれているというも似た例か。つまりアメリカの過去の女子プロサッカーリーグWUSAにしてもWPSにしても独立した運営を目指して失敗した例。その失敗に懲りてMLSからのヘルプに期待するというのはあり得る話です。

但し、MLSとの協力態勢というのはWPSも模索していたことで、「お互いサッカーのアメリカでの発展に協力しましょう」という無意味な声明はMLS/WPSから出たことがあるんですが実際はなにもMLS/WPSの協力はなかったという実績もあります。それがWPSが崩壊したことでMLSが女子プロサッカーに乗り出す可能性があるのか。


WPSがMLSとの協力態勢やさらに進んでNBA-WNBA型のサブ組織を模索した時点=ほぼ五年前の時点ではMLSにはその余裕がなかった、いまはMLS側に将来の展望が開けているという大きな違いがあります。五年前というとMLSは初めて米国外のチームとして新規にToronto FCを加えて13チーム化(現在19チーム)したばかりのころ。いまMLSの動員の圧倒トップを誇るSeattle SoundersはMLSに参加の予定はなく、New Yorkを始め各地で動員減少に歯止めがかからずリーグの存続が危ぶまれていたころの話です。それどころか当時はMLSはコスト節約のために若手の練習試合の開催を止めていたぐらいの節約モードの時代です。自らの若手育成にすらお金をかけられない時代に、女子リーグを抱えてプロモートなんてやれるわけがなかったわけです。そうやって節約したお金でDavid Beckhamをサラリーキャップルールを変更してまで獲得した年でもあります。Beckhamのスターパワーに有り金賭けて反転攻勢戦略に忙しかった時代。

それが今ではうまくスポーツ局の多チャンネル化に乗ってESPN系、FOX系、NBC系と三系列と放映権契約を結び、また一気に増えたチームの加盟費の急上昇(1チーム最高$40 millon)も流入して資金面でも五年前とは雲泥の差です。もちろん収支で言えばまだ赤字クラブも多いですし、累損を減らすような継続的に利益を産み続けるビジネスの域までは到達していませんがMLSの将来への見通しは五年前とは比較にならない安定度を増していると言えます。

そういうMLSの状況の変化があるのでMLSの女子サッカーへの対応が五年前とは違った形になる可能性はあるとは思われますが、だからと言って即座に女子プロサッカーの大スポンサーになって女子プロ1部リーグ再興か、というとそこまで甘くはないとも思います。なぜならMLSの一般選手のサラリーは低く、賃上げ要求の突き上げが今後も続くと見込まれる中、女子側にカネが流れるのはMLSの選手たちにとっては不快なカネの使い方となるであろうからです。労働争議で荒れる可能性を増す動きと言えます。動員で好調なクラブもありますが、そうでない古参チームもあるのに、女子部を持ってどうなるのか。MLSの動員がより減るのでは?という危惧はありうるところです。


MLSがスポンサーとなるかどうかは別として、W-Leagueがプロ化していく可能性を考えて見ましょう。

上でも述べたように一部には女子代表選手を複数獲得して事実上のプロ化を推し進めているチームもW-Leagueにはありますが、他方モロに地方のアマクラブも混じっていて力量の差は相当にありそうです。プロディビジョン構想というのはそういうアマチームを排除するという発想なのでしょうか。W-Leagueが細々ながら続いていた理由はなによりもコストが低かったことのはずなのです。一応全国リーグの体裁はとっていますが、実態は各ディビジョン内での対戦が主で移動もバス移動。選手も試合給が出るチームも出ないチームもある。選手のほとんどは別に仕事を持っている女性たちです。またはオフシーズンの大学生選手が参加しているためサラリーを出せない(対価を受け取るとNCAA規則違反で大学の試合に出られなくなる)チームもある。プロ化というとそういうアマ選手たちを含むチームは全面的に脱落する。ではどこが残るかというと代表級を雇ってペイが期待できる大都市部のチームだけになる。そうなるといままでのW-Leagueのように地域リーグでチーム数が足りるのかどうか。結局WPSの初期のように遠い遠い都市にチームが点在する全米リーグになる。バス移動が不可能な距離になったらどうするのか。運営費が跳ね上がります。地域リーグのまま=運営コストを抑えたままでプロ化ができるものかどうか。WPSの末期について私はチームが東海岸にチームが集中してバス移動で運営ができる点を評価してきていますが、W-Leagueが長年存続できてきた良いところも同じで地域的にコンパクトだったことのはずです。それがW-Leagueのプロ化でまた「全米規模」を目指したらWPSやWUSAの失敗の轍を踏むことになりそうです。では地域リーグの良さを残したままW-Leagueがプロリーグに転換可能なのかというとこれは微妙。かなりの工夫をこらさないとそうはならなさそうです。いずれにしても頭をやわらかくして計画に臨まないといけないんじゃないでしょうか。固定フランチャイズのリーグ制だとか全米規模の云々という固定観念に縛られると何度やっても同じということになりかねないですね。(男子サッカーもそういう失敗の歴史を経てますが)

スポーツの魅力は絶対的な力量に非ず だとしてMLSは

今年はまだMLBは現地観戦を一試合も行っていないのですが、サッカーMLSの方にはタイミングもあって既に二試合観戦に行ってます。どちらも好天、かぶりつきのいい席、まずまずの好試合で楽しく観戦してきました。MLS観戦の良いところはサッカー専用スタジアムのピッチの本当に脇で見られる臨場感、そしてチケット相場が安いのでメジャースポーツでは同じような金額ではまあまあの席しか取れないんですがMLSだとかぶりつき最前列が取れたりするのがおいしい。MLBぐらいなら最前列席ゲットは可能ですが、NBAやNHLやNFLで最前列席をとるとけっこうな出費です。そもそもチケットの出物がない場合も多い。


以前から自分の中で疑問があるのです。読者の方はご存じの通り私はカレッジスポーツが大好きです。フットボールならNFLより明らかにカレッジフットボールの方が好き。当然のことながら素の競技能力、力量を考えればカレッジの方がプロに大きく劣ります。以前も議論したことがあります(本記事およびコメント欄で)が、その絶対的な力量差をもってもどうにもカレッジの方がおもしろいと感じる。これは試合だけでなくスケジュールや優勝決定のプロセスのおもしろさという面での優位(少なくとも私の好みには合っている)があるので純粋にカレッジフットボールの試合とNFLの試合でどちらがおもしろいか、という比較ではない面はありますが、とにかく私はカレッジ好き。バスケだとフットボールほどカレッジ一辺倒で支持ということはないですが、それでも力量の劣るカレッジの方も相当に面白い。他にも力量は劣ってもおもしろいスポーツのジャンルというのはあるわけです。高校野球がプロよりおもしろいとか女子テニスが男子テニスよりおもしろいとか、フィギュアスケートなんかもそうですね。女子サッカーや女子バレーの方が男子よりおもしろいという人もいるでしょう。IndyCarのがF1よりおもしろいという意見もその類でしょうか?それぞれに絶対的な力量が劣ってもおもしろい、と思う人が十分にいるからそれぞれが継続的な興業として成立しているはずです。それぞれのジャンルに成功の理由はあるわけですが、理由のあれこれはともかく絶対の力量差はスポーツエンターテイメントとしての絶対条件ではない、ということを指摘してみたいわけです。


ところがなぜか私はいつもMLSを語るときに「MLSはレベルが…」と否定的な意見を述べてしまうのか、という点が自分の中の疑問です。うまく答が見つけにくい疑問。実際にレベルは問題です。MLSの試合を見ているとなんでそこで…というプレーはあちらこちらに出ます。MLSの中で見るとThierry Henry(New York Red Bulls所属)はやはり鶴並の周りから隔絶したプレーぶりで、ああやっぱり他の選手との差は絶望的だなと残念に思ったりします。でもそれは必須条件ではないはずなのです。それでもいつもMLSの話になると技量が…と思ってしまう、つまりそれは他の「最高レベルの技術でないジャンル」にはファンを惹きつける要素があって、MLSにそれが欠けている、ということになるのではないでしょうか。そのなにかが欠けているから技量のなさが気になるのでは、という疑問。なにが欠けているのか。

(続く)

NBAプレーオフが燃えない

NBAのプレーオフが進行中、例年ならしっかり見ている時期なんですがどうも燃えません。一時期ESPNの西海岸支局(と呼んでいいのか。以前は東海岸コネティカット州で基本的に全部制作していたのが近年はロスで遅い時刻の分のニュース番組は制作されています)では「NBAでLakersとClippersが西カンファレンスファイナルで対戦して、同時にNHLでKingsがStanley Cup Finalsに進出したら三チームともにホームとするStaples Centerは連日スポーツ世界の中心になる!」なんて言って煽っていたのですが、Clippersに続きLakersもあえなく二回戦で敗退。Lakersはシーズン前のChris Paul獲りでNBAから横槍が入ったりその他メンバー的にアンバランスのままのシーズンで仕方ないとも言えますが、結局残ったのはNHL Kingsだけになってしまいました。

NHL Kingsは1993年以来の史上二度目のStanley Cup Finalsに王手をかけている状態。LAという街はバスケがキング(正確にはLakersがキング)という街ですからNBAの方が注目を集めている限りサブ扱いは免れないところ。それが期待されたLakers x Clippersの西決勝が消えるだけでなく両チームとも二回戦で完敗での敗退(Lakers 1勝4敗、Clippers 4戦全敗)で消えたことでKingsに期待がかかるという意味でKingsにとっては絶好の環境になったように見えます。KingsはNHLプレーオフに西最下位8位シードで滑り込み突入するも若手が躍動、1位シードVancouverを開幕3連勝から4勝1敗、二回戦2位シードSt. Louis Bluesを四タテ、西決勝も三連勝から一つ落としての3勝1敗王手状態。圧倒優位のまま各シリーズをリードしています。若手中心で名の通ったスターは不在。Anze Kopitarという点取り屋がいて昨シーズンだったかシーズン序盤に個人ポイント争いで飛び出して一瞬目立ったものの、地元LAでもさほどの人気の選手とも言えなかったのが、これで地元での注目度は高まるのか。それとももっと覚えやすい名前のGK Jonathan Quick(アメリカ人です、NHLではこれは希少かつ重要)が大健闘中なのでそっちを祭り上げるのか。Los Angeles KingsにとってはWayne Gretzkyを輸入して以来の人気伸張の大チャンスにどういう策を打ってくるんでしょうか。相手はNY x LA対決でNew York Rangersがより好ましいかな。いや策よりなによりNBAの不在のこの千載一遇のチャンスにStanley Cupを勝つことがなによりですね。勝ちさえすればあとはついてくる。


NBAの方は期待のLakers, Clippersが脱落、Lakersを圧勝で葬ったOklahoma City Thunderが西決勝ではベテランチームSan Antonio Spursとのマッチアップ。ThunderのフレッシュさはNBA全体にとっていい刺激になるとは思います。東は1位シードChicago BullsはエースDerrick Roseの欠場で一回戦敗退緊張感に欠ける展開になっているのが燃えられない理由。その上2位シードのMiami Heatも二回戦で苦戦中。Heatはビッグ3の一角=Chris Boshをケガで欠いている中、Dwyane Wadeも負傷をかかえてプレー中とされます。2勝2敗のタイに持ち込んだ第四戦ではLeBron James 40点、Wade 30点と二人で逆転勝利に持ち込みましたがバランスの悪い苦しいシリーズになってます。バランスが悪いと書きましたが、個人的にはHeatこれぐらいバランス悪く二人への比重を高めた方が結局強いんじゃないのか、というのは以前から思っていること。ある意味Boshに気をつかってボールを廻さなくていいのは好結果になるのでは?という期待はあります。二回戦の行方を占う第五戦は今夜@Miamiで。ビッグネームチームが次々陥落している今季のプレーオフ、Heatまでもたもたしていてはより盛り上がりに欠ける。Wadeまで負傷で欠場するようなことがあっては層の薄いHeatではFinalsまでもたない可能性もありますし、なによりファンの期待感がしぼむ。Wadeにはなんとか身体をもたせてプレーオフを盛り上げてもらいたいところです。

バスケの方でもカンファレンス移動あり

動くお金の桁の違いもあってカレッジスポーツのカンファレンス移動の騒動は基本的にはフットボール側の事情でドタバタ動くわけですが、トップディビジョンのフットボールを持たない各校にとってはバスケットボールがカンファレンス移籍の理由となります。アメリカのカレッジスポーツではフットボールと男子バスケ(そしてごく一部のエリート校の女子バスケや野球)が利益を産むスポーツで、フットボール運営が選択肢にない学校にとっては男子バスケはカンファレンス移動における最大の原動力です。


VCUとButlerがAtlantic 10(A-10)へ移籍することが決定しています。VCUはこの秋から、Butlerは2013年から。なんでもA-10は今回の一連の動きの中でGeorge Masonにも声をかけたそうですが、George Masonはその誘いを断ったとか。もしVCU, Butler, George Masonと過去数シーズンのMarch Madnessのシンデレラ校が勢揃いで移籍となったらこれは見物だったわけですが、そこまでは実現せず。

George MasonよりもA-10にとってもカレッジバスケットボールファンにとってもVCUやButlerの方が魅力があります。A-10はいいチームを取ったなという感じが強い。George Masonの場合、Final Four進出当時のHC Jim Larranagaは現在ではMiami-FL(ACC所属)のHC職に移っておりFinal Four当時と現時点でのGeorge Masonとのつながりは薄い。対してVCUとButlerはともにFinal Four進出にそれぞれの学校を導いた若い有能なHCがどちらも留任している。Final Four進出の記憶もまだ新しい。VCUのShaka Smart 35歳、ButlerのBrad Stevens 同じく35歳。どちらも話しぶりの快活さ、若さに似合わない冷静さなどこれからのカレッジバスケットボール界で長く名コーチとして残っていく可能性を強く感じさせる魅力あるHCたち。Stevensは2022年までの長期契約をButlerと、Smartは2019年までVCUにとどまる契約をかわしています。お歳(62歳)のLarranagaはMiami-FLでどれほどやれるかわからないですが、Larranaga自身のキャリアとしてはミッドメジャーで成功してACC校に栄転、無事キャリアを終えるという感じではないでしょうか。


(以下は別の記事でのコメントで書いたことと重なりますが、記事として再録しておきます)


大学の宣伝という意味でカレッジフットボールとカレッジバスケットボールでの活躍は別格なものがあります。教育の方で大学の評判を上げることは短期間ではほとんど不可能なのが、スポーツの活躍で生徒数を増加させることはとある三月一ヶ月で可能なわけです。

例えば2006年に驚きのFinal Four進出したミッドメジャー校のシンデレラストーリー第一弾のGeorge Masonの例だとFinal Fourを達成した年の秋入学の願書が22%増、その後も順調に生徒数は増え、ブースター(主に卒業生や地元企業など)からの資金援助も増えてキャンパスでは新規施設の建設が続き、なんといまでは遂にバージニア州で生徒数最大の学校に膨れあがっています。こんな劇的な効果を得られる可能性はスポーツでの成り上がり以外ではほとんど考えられないわけです。
他ではFinalに二年連続で残ったButlerも願書41%アップとか、ホントか?と思うようなむちゃくちゃな数字が残っています。バスケの結果で人生の進路が流される高校生というのはなんですが、在校生や卒業生の愛校心アップは将来の大学への寄付額に大きくかかわってくるし、直接的にも試合も黒字になるしグッズも売れるし大学の運営という意味では当たった場合の大きさは大変なものがあると思います。そこまで大当たりをしなくても相当に効果は高いと思われます。

バスケットボールは人員も少なく運営費も屋内ということで知れている。移動もミッドメジャーカンファレンスだとほとんどバス移動だったりしてコストは安い。一方バスケでも予算のたっぷりある強豪校ではキャンパス内に飛行場があってバスケチーム専用機がありキャンパスから敵地へ直行快適乗り入れと大変な格差があるわけですが、安く済まそうと思えば小規模校でも十分に維持可能です。


フットボールの方は運営費がバスケとは桁違いに高いため大規模校か大都市の学校、伝統的にフットボールが人気の学校しか維持できない。比較的小規模で成功しているTCUやMiami-FLといった学校もありますが基本的には各州の旗艦校や有名校がほとんどです。有名校だからフットボールを持っているのか、フットボールで強いから有名校だと思われているのかわからないぐらいイメージとしてフットボールは大学のメジャー度をアピールする場となっています。
コストパフォーマンスだとバスケの方が低リスクだしとりかかりやすいでしょうが、収入として残るお金の額で言えば圧倒的にフットボールが大きいわけです。まさに桁が違う。しかしいくらフットボールが儲かりそうと言ってもそのパイに食い込むのは並大抵のことではないです。スタジアムその他初期投資やリスクが大き過ぎるんですね。分相応にというとやはり予算面でも手軽なバスケットボールということになるし、小規模校にとってはバスケに資源集中する方が正しいやり方になると思われます。

プラスワン方式が頓挫したときの保険として

考えてみたのですが例のSEC x Big XIIの優勝チームが対戦する新元旦ボウルの契約ですが、これは次期BCS(BCSという名前自体が消えるかもしれませんが)の仕組み作りで関係者が合意できない場合の保険としてこの新ボウルを設置するのではというところが大きな効果のひとつなのではないか、と思い至りました。

以前にも細かく議論しましたがBig Eastをメジャー側から切り落とすとメジャー側は学校数で過半数を割ってしまうという大問題がありました。今回の動きではBig EastだけでなくACCも切ってしまおうというのですから新メジャー側四カンファレンスは確実に少数派となります。少なくとも現時点の各カンファレンスの所属数の下では。そうなるとメジャーから放逐されるBig EastやACC、マイナーカンファレンスやNotre Dameと言ったところがまとまって対メジャーで連携してしまうと学校数の上ではマイナー側が新四大カンファレンスを上回ることになる。つまりはメジャー側が過去のBCSのシステムを決めてきたときのように数を頼みにシステム決定の主導権を握ることはできない。よってメジャーに不利な新BCSシステムが提案される可能性がある。その場面を想定した場合、新メジャー側にとって新BCS交渉が決裂してもかまわない次善案の陣容が新元旦ボウルで整うと言えるという点がすごいと思うのです。

こういうことです。もし次期システムのカレッジフットボール界全体での交渉が決裂しても、Rose BowlのBig Ten優勝校対Pac-12優勝校の一戦と、新元旦ボウルでのSEC優勝校対Big XII優勝校の対戦が確保できるのならば事実上カレッジフットボールの準決勝二試合をほとんど押さえたと言ってよいことになる。そして新元旦ボウルはSugar BowlとFiesta Bowlの合同でしょうから、事実上の準決勝の勝者をFiesta/Sugarの残りのどちらかに送り込んでこれまた事実上の全米優勝戦が開催可能、という状況を作り上げたということなのだと思われます。その場合、新メジャー側はこれを全米優勝戦とは呼ばないでしょう。このフォーマットではこの新四大カンファレンスの学校以外は事実上の準決勝・事実上の決勝戦にも出場できないわけですから、もし全米優勝を名乗ればまたぞろ独禁法での訴追がかかるでしょうからです。法律的な問題を避けるため全米優勝を名乗らなくてもフィールド上の力関係から言って四大メジャーカンファレンスから優勝校が投票ランクで選出される可能性はかなり高いでしょう。


ポイントは新メジャー側が最初から決裂を目指しているというのではなく、新規BCSの交渉が決裂したら俺ら新メジャー側(Big Ten/SEC/Pac-12/Big XII)はこういうプランで勝手にやるから、というのをちらつかせて新マイナー側(含む元メジャーACC/Big East)に数を頼りにして交渉で強気になるのを未然に防ごうというプランだと思うのです。実際に決裂したら上記の「事実上プラン」へ、それが嫌ならあまりメジャー側に不利な条件をつけてつけあがるなよ、という警告なのでは、と。どうでしょう。

女子プロサッカーWPS 来季以降の活動再開断念発表

せっかく「女子サッカー」というカテゴリを作ったのにこういうニュースが入ってきています。米女子プロサッカーリーグWPSが活動完全停止を決定、崩壊となりました。今年2012年シーズンはシーズンキャンセルという表現で来年以降の復活にわずかな望みをつないでいたんですが遂に断念してWPSは三シーズンで幕を閉じたことになりました。直接的な理由としては過去何度も議論してきたので今回はあまり追求しません。(いくつか詳細な記事を過去書いていますがトラブルオーナー参入時の状況はこの記事がその後のオーナー間の争いなどの件はこの記事が概略を伝えるにはいいと思いますのでリンク)総括的には女子サッカーはフランチャイズ固定型+四ヶ月程度の集中型シーズンで継続的にビジネスを支えるだけの興行的実力を持ち得なかったということです。興業でのアガリが伸びて行く見込みが付かず、オーナー投資家(という名の寄付者)頼みの脆弱な構造だったため一部オーナーの意向動向で経営が右往左往した挙げ句の終幕というわけです。トラブルオーナーの復活を許したのが結果的にはトドメになったのでしょう。


結果からみれば2001年〜2003年に活動した初の女子プロサッカーリーグWUSA(Women's United Soccer Association)と同じく三シーズンで終了。日本のなでしこリーグが採算は合わなくても何年も続いていたことと比較すると見切りの早いアメリカのビジネスのスピードが会場に来てくれるファン層を育てる、選手を育てるにはペースが早すぎるのかなとも思いますが、これがアメスポビジネスの常ですからこれも致し方のないところでしょう。WUSAと比較するとWPSは緊縮型で運営されたとは言えますがそれでもまだ緊縮度が足りなかったと言えるのかも知れません。でも緊縮緊縮だけでは、潰れない、潰れるのが先延ばしになるだけで利益を産むビジネスへの転換は見込めないんですけどね。


この先の見込みですが五輪の成績や露出度次第で勢いは変わってくると思いますが、女子スポーツ界では女子サッカーはトップの人気種目であることは間違いなく、今後もプロ興業を目指せる可能性はあると思います。但し都市固定のフランチャイズ型プロという従来のやり方を当たり前のように続けて持続可能なプロ組織となっていくかは疑問。女子プロスポーツで成功しているゴルフやテニスのようなツアー型への移行や、例えばバレーボールがやっているような国対抗のリーグ戦の常設と言った別の形態を考えて行くべき段階じゃないかと思われます。アメリカ代表チームを二つ作ってスターを配分、それに毎年ゲスト国を二つ呼んで(例えばブラジルとスウェーデン)ダブルヘッダーのツアーをして全米を回るとか。またESPNWという女性スポーツ専門局の開局を狙っているESPN系に放映権料ナシでも取り入って露出度を大きく上げるなど戦略的な思考でとりかからないと、WUSA、WPSと同じことをやっていてもラチがあかない、新しい投資家も呼び込めないわけで、斬新な発想のできる実力のある経営者の下で展開して欲しいものだなと思います。

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